ColBaseで「あつ森」を楽しもう!国際ミュージアムデー編
5月18日の国際ミュージアムデー(国際博物館の日)が近づいてきました。
任天堂の人気ゲーム『あつまれ どうぶつの森』(通称「あつ森」)の博物館でも、国際ミュージアムデーを記念するイベントが開催されますね。
日頃から「ムシ」を採り、「サカナ」を釣り、「かせき」を掘り、「美術品」を買い、コツコツと博物館館長のフータ(フクロウ)へ寄贈して、博物館の展示物を増やしてきました。
博物館のムシ・サカナ・かせき・美術品それぞれのエリアが充実してきて、博物館の中を見てまわるのが楽しみになっています。
「あつ森」の国際ミュージアムデーのイベントでは、5月18日~5月31日の間、博物館の中にスタンプラリーが設置されて、スタンプを押すと景品と交換してもらえるようです。今年からは美術品エリアでもスタンプラリーができるそうで、とても楽しみです。
せっかくの機会なので、ここではミュージアム(美術館や博物館)の仕事についてお話しいたしましょう。
ぶんかつ職員が、フータの博物館の裏側を想像してみました!
「あつ森」のフータの博物館には、ムシ・サカナ・かせき・美術品の4つのエリアがあります。
この中でも、文化財活用センター〈ぶんかつ〉と同じ「国立文化財機構」に属する東京国立博物館〈トーハク〉に似ている美術品エリアについて、裏側ではどのような仕事が行なわれているのか、トーハクの実情を交えながら想像してみました。
ようこそ、美術品エリアへ!
そもそも、ミュージアムとは何でしょう?
ミュージアムの仕事は、おおまかに言うと
・資料を集める
・資料を保管する
・資料を展示する
・資料を皆さんに楽しんでいただくためにさまざまな事業を行なう
・資料に関する調査研究を行なう
などがあります。それでは、その中身を一つずつ見ていきましょう。
・資料を集める
展示室に展示する資料(文化財)や、その資料について詳しいことが分かる関連資料、文献などを集めます。 トーハクでは基本的に、個人や団体から寄贈を受けたり、古美術商などから直接購入して文化財を収集します。
文化財の価値を決めることはとても難しく、外部の専門家も交えた会議で承認された文化財が収蔵されます。
つねきち(キツネの商人)の売り物から慎重にホンモノの美術品を選ぶ様子
・資料を保管する
保管するといっても、箱にしまっておくだけでは傷んでしまう場合もあります。
トーハクでは特に日本東洋の文化財を所蔵し、それらは木や絹など繊細な素材のものも多いため、適切な保存と管理には豊富な知識と高い技術が必要です。特別な訓練を受けた職員が素材の分析や修復などを行ない、文化財を後世に長く伝えるために努力しています。
作品の素材を分析し、修復を行なう研究員たち
・資料を展示する
多くの方が「博物館=展示」というイメージをお持ちだと思います。皆さんが展示を鑑賞しているときに、学芸員が展示室に現れることはギャラリートーク以外ではほとんどありませんが、学芸員は皆さんに展示を楽しんでいただけるように展示室の裏で日々心を砕いています。
トーハクは、古代から近代まで、日本東洋の絵画・書跡だけでなく、彫刻や工芸品、考古遺物も所蔵しており、各分野のエキスパートである研究員(学芸員)が分担して展示を作っています。(それにしても、博物館内の解説を、ぜんぶフータが書いているのでしょうか?いや、そんなことは不可能なはず…きっとほかにも職員がいるはず…)
展示作品の位置や照明が適切か、展示で伝えたい内容が皆さんに伝わるか悩む学芸員たち
・資料を皆さんに楽しんでいただくためにさまざまな事業を行なう
今回のフータの博物館でのスタンプラリーのように、資料について理解を深めていただくために、さまざまな教育普及活動を行ないます。
トーハクでは教育普及活動以外にも、資料館での図書閲覧、カメラマンによる文化財の写真撮影、文化財の画像・情報をデジタル化してデータベースで公開するなど、文化財情報へアクセスしやすくするための作業をコツコツ積み重ねています。
皆さんにご利用いただける文化財情報を日々更新する文化財情報担当の職員たち
・資料に関する調査研究を行なう
学芸員は常に最新の研究に目を配り、皆さんにその成果をお伝えしなければなりません。
トーハクの研究員は、日々調査研究を重ねています。国内外の学会で発表を行なったり、その成果を論文にまとめて社会に発表したりしています。(フータはお昼に寝ていますよね。夜に頑張って論文を書いているのかもしれません。体が心配です。)
「ふむ…これは重要な発見ではないか?(いや、そうでもないかも、でもしかし…)」と心揺れる学芸員たち
これ以外にも、ミュージアムを運営するには事務、施設管理、展示室監視、警備、清掃などさまざまな仕事があり、フータの博物館の規模から考えると、おそらくバックヤードには数十人の職員が働いているのではないかと想像しています。
まさかこれだけの仕事を一人でこなしているのですか、フータ館長…あっ、寝てる…
こうしたミュージアムの仕事の中でも、昨今注目が集まっているのがデジタル分野でしょう。 その基本になるのが所蔵品のデータベースです。いま、私たちはパソコンの画面から世界中のミュージアムの作品情報にアクセスできるのです。
ぶんかつでも国立文化財機構が所蔵する作品のデータベース、「ColBase」[https://colbase.nich.go.jp/?locale=ja]と「e国宝」[https://emuseum.nich.go.jp/]を公開しています。
このようなデータベースは、研究だけでなく、学校教育への利用も期待されています。
さらに、VRやARなどデジタル技術の発展とともに、デジタル資源化された文化財の利用や、デジタル技術を使った展示が注目されるなど、これからはデジタルの世界にも文化財をどんどん開いていこう、いやデジタルの力で文化財の可能性を広げよう、という考えが世界中で支持されています。
ぜひ、いろいろなデータベースを積極的に活用していただければ嬉しいです。
さいごに、国際ミュージアムデーに向けて、ColBaseの中からいくつかの絵画を「あつ森」の世界に取り込んで、「パニーの島」で部屋を飾りつけ、住民たちに遊びに来てもらいました。
奥に飾られているのは中国絵画の名宝「紅白芙蓉図軸」です。
「花」をテーマに飾った空間で、住民との思い出話に花が咲きます。
「猫図軸」2幅、「いきなめいが」、「いなせなめいが」を飾ってみました。 (Animal Crossing Pattern Tool[https://acpatterns.com/editor](英語)を使って「猫図軸」の画像をマイデザインに変換しました。)
公式マイデザイン配布中の「ふゆきなこそで」を着ておもてなし。
▷ColBaseで「猫図軸」の作品情報を見る
▷関連ブログ「『あつ森』マイデザイン 〈ふゆきなこそで〉を公開!」の記事を読む
ぜひSNSで「#ColBase」や「#おうちミュージアム」のハッシュタグとともに、ColBaseで「あつ森」を楽しむ様子を発信してみましょう。
ColBaseの画像を利用する際は出典の明記をお願いしていますが、twitterで発信される場合は字数に限りがあるので「#ColBase」などの表記でOKです。(可能であればリンクを貼っていただけると嬉しいです)
なかなか気軽に外出することが難しい状況が続きますが、こんなときこそ、「あつ森」のようにデジタルでミュージアムを楽しみましょう。
「あつ森」で国際ミュージアムデーを楽しまれたら、さまざまなデータベースを探検してみて、気になる作品を「あつ森」の世界に飾ってみてはいかがでしょうか。
もしお近くのミュージアムが開館している場合は(残念ながら閉館中の場合は開館したら)、感染対策にお気をつけのうえ、ぜひ訪れてみてくださいね。
そこで気になった作品について、ミュージアムのホームページや図書館で調べてみたり、考えたり、描いたりしてお楽しみください。
▷関連ブログ「ColBaseで「あつ森」を楽しもう!鳥獣戯画編」の記事を読む
▷関連ブログ「ColBaseで「あつ森」を楽しもう!」の記事を読む
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- 2021年05月13日 (木)