ぶんかつブログ

「e国宝」リニューアル

国立文化財機構が所蔵する国宝・重要文化財を、高精細画像と多言語解説で紹介するWebサイト「e国宝」[https://emuseum.nich.go.jp/]を、10月30日付でリニューアルいたしました。今回のリニューアルでは画面デザインを大幅に変更し、文化財の美しい画像をより見やすく、使いやすくしました。例えば「e国宝」トップページでは、各ジャンルの文化財の画像を並べて、それぞれのジャンルにどんな文化財が含まれているか、パッと見たビジュアルで捉えられるようなデザインになっています。


「e 国宝」トップページ

文化財を個別に紹介するページに掲載されている画像は従来の「e国宝」と同様に高精細なもので、拡大していけば細かい部分までくっきりと見えますので、いろいろな発見をしていただけると思います。


「e国宝」で「鷹見泉石像」の眼の部分を拡大

また今回、国立文化財機構に属す東京、京都、奈良、九州の4国立博物館が所蔵する国宝・重要文化財に加え、あらたに奈良文化財研究所の所蔵品を収録対象とし、「平城宮跡出土木簡」の画像を追加掲載しました。


「平城宮跡出土木簡」

Webサイトのリニューアルにあわせ、iOS版、Android版のアプリもアップデートしています。あわせて「e国宝」のサイトURLを、http://www.eumuseum.jp/から、https://emuseum.nich.go.jp/に変更いたしましたのでご留意ください。

文化財活用センター〈ぶんかつ〉が運用するもう一つのデータベース「ColBase」[https://colbase.nich.go.jp/]と「e国宝」はどのような違いがあるのか、ご存じない方も多いかもしれません。「ColBase」は、原則として国立文化財機構すべての所蔵品を対象にしています。一方「e国宝」は、国立文化財機構の所蔵する国宝・重要文化財という国指定の文化財に特化して高精細画像とともに収録しています。現在「ColBase」で公開している文化財は137,762件、一方「e国宝」は1,114件です。つまり「e国宝」の特徴としては、国立文化財機構の所蔵する文化財全体のおよそ1%を厳選して、高精細画像と詳しい解説を掲載していることになります。

さて、今回の「e国宝」のリニューアルは「10年ぶり2度目」です。前回のリニューアルは2010年でしたが、さらにその前のバージョンが最初のサイトで、2001年に公開をしています。


2001年公開、最初の「e国宝」トップページ

「e国宝」のコンセプトは最初から「高精細画像と多言語解説」というもので現在も変わりません。しかし、2001年公開時における、高精細画像をWebで表示するための技術は、現在と比べるとかなり素朴なものでした。「クリッカブルマップ」という仕組みを使って画像を区画にわけ、ある区画をクリックするとページが切り替わって、その区画の拡大画像が表示されるというものです。拡大・縮小のたびにページを読み込み直していました。

2010年の「e国宝」リニューアルの際には、現在と同じようにマウスでドラッグして位置を調整したり、ダブルクリックで拡大したりできるようになりました。大きな画像をドラッグしたり拡大・縮小して閲覧する技術としては、2005年頃にWeb上の地図サービスが登場しています。「e国宝」も、おおよその方式や操作性はこうした地図サービスにならったものでした。また前回リニューアルの直後には、本格的なタブレット端末が市場に登場しています。「e国宝」のアプリ版はそうした新しい端末に対応するために開発したものでした。

「e国宝」は今年で20年目を迎えます。この間、世界中の多くのミュージアムが高精細画像のデジタルアーカイブをWeb上に公開してきました。すでに成熟しつつある分野と言ってもいいでしょう。しかし端末の技術やインターネット環境には、さらに様々な変化が起きるに違いありません。これからも、その時々に応じたデータの活用を模索していきたいと考えています。

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カテゴリ: 文化財の情報