ぶんかつブログ

九州国立博物館で東洋陶磁の世界をたのしむ

灼熱の8月ですね。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
せっかくの夏休み、どこかに出かけたいけれど暑いのは嫌…そんなあなたにおすすめしたいのが、九州国立博物館(きゅーはく)で開催中の涼やかな展覧会「憧れの東洋陶磁 ― 大阪市立東洋陶磁美術館の至宝」です。


青を基調としたビジュアルが目にもさわやか。

いまも私たちの生活に身近な存在であるやきもの。中国・韓国から海を渡り日本にやってきた「唐物(からもの)」とよばれる陶磁は、喫茶の道具や調度、うつわとして珍重され、日本の文化と結びつき、受け継がれてきました。本展では、世界的な東洋陶磁コレクションを誇る大阪市立東洋陶磁美術館*の所蔵品を中心に、中国・韓国陶磁の名品を展示しています。
さらに、この展覧会では文化財活用センター〈ぶんかつ〉が制作した茶碗鑑賞のデジタルコンテンツ「8Kで文化財 ふれる・まわせる名茶碗」**もお楽しみいただけます(九州初出張!)。このブログでは、展覧会と体験型コンテンツの見どころをあわせてご紹介します。

*大阪市立東洋陶磁美術館は、2024年春のリニューアルオープンに向けて改修工事のため休館中。
**本コンテンツは、文化庁「令和3年度 地域ゆかりの文化資産地方展開促進事業(先端技術を活用した文化資産コンテンツ制作プロジェクト)」により制作したものです。(制作協力:九州国立博物館・愛知県陶磁美術館)


会場風景


会場内で「8Kで文化財 ふれる・まわせる名茶碗」を公開。かたちも重さも実物の文化財そっくりに作られた茶碗型ハンズオンコントローラーを動かせば、8Kモニター上の高精細画像を360度好きな角度から鑑賞できます。6つの名碗から好きなものを選んで、さわって、まわして。

その1 色とりどりの「青」を味わう
世界をリードした中国陶磁のツートップは「青磁(せいじ)」と「青花(せいか)」。文字通り、どちらも印象的な青色をしています。「青花」とは、白磁にコバルトで草花などの文様を描いたうつわのこと。白と青の美しいコントラストをぜひ会場でご覧ください。
もうひとつのスター「青磁」も、その色味はさまざま。本展では、中国陶磁の最高峰といわれる汝窯(じよう)青磁の透き通るような薄い青色や、中国の影響を受けながら独自に発展した韓国の青磁の「翡色(ひしょく)」とよばれる緑がかった青色など、色とりどりの「青」を堪能できます。
「ふれる・まわせる名茶碗」では、東京国立博物館所蔵の「青磁輪花茶碗 銘 馬蝗絆」を手に取ることができます(※本展での実物展示はありません)。会場内に展示されている多様な青磁と比べてみるのも楽しいですね。


重要文化財「青花牡丹唐草文盤」中国・景徳鎮窯 14世紀 大阪市立東洋陶磁美術館(東畑謙三氏寄贈)

国宝「飛青磁花生」中国・龍泉窯 14世紀 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)

*いずれも六田知弘氏撮影

その2 「油滴天目の双璧」を同時公開
抹茶の喫茶法とともに中国から伝わった天目碗の中でも、特に高く評価されたのが油滴天目(ゆてきてんもく)。黒い釉に、銀色に輝く油のしずくのような斑紋(はんもん)があることから「油滴」と呼ばれています。会場では、大阪市立東洋陶磁美術館の国宝ときゅーはくの重要文化財、ふたつの油滴天目を並べて展示しています。「油滴天目の双璧」とうたわれた2碗の共演をお見逃しなく。

重要文化財「油滴天目」中国・建窯 12~13世紀 九州国立博物館

「ふれる・まわせる名茶碗」では、きゅーはくの油滴天目を鑑賞することができます。
油滴天目の斑紋は、角度によって虹のように色が変化して見えます。シャボン玉などにも見られるこうした現象を「構造色」といい、「ふれる・まわせる名茶碗」ではこれを画面上で再現しています。濡れたような黒色の釉とメタリックな銀色の斑紋、その中に生じる虹色の構造色…それらすべてを再現するために、きゅーはくの協力のもと何度も3Dデータの改良を重ねました。碗を傾けるとあらわれるかがやきを、手に取って体験してみてください。


油滴天目のかがやきを8Kで体験。

その3 実物と比べるチャンス!ふれる・まわせる名茶碗
展覧会の第2章では、東洋陶磁がどのように日本の文化と結びついてきたかを多角的に紹介しています。
その一角にある、茶の湯における東洋陶磁の影響を展示するコーナーでは、「ふれる・まわせる名茶碗」に収録されている「大井戸茶碗 有楽井戸」(本展では「大井戸茶碗 銘 有楽」と表記)、「黒楽茶碗 銘 尼寺」の実物をご覧いただけます。
つまり本展では、「ふれる・まわせる名茶碗」に収録された6つの茶碗のうち、3碗の実物をみることができるのです。こんな機会は滅多にないですよ!


有楽と尼寺の実物は並んで展示されています。

この他にも、うっとりするような東洋陶磁の名品たちがあなたをお待ちしています。 会期は9月3日(日)まで。

さらに会期中、文化交流展示室では、ぶんかつブログでもご紹介した「四区袈裟襷文銅鐸」(九州国立博物館蔵)の復元模造をお披露目しています。銅鐸を鳴らしてみることもできるそうです。どんな音がするでしょうか?
4階文化交流展示室 第7室の「~Touch the History~さわって体験 本物のひみつ」(8月8日(火)~10月1日(日))にて。特別展のチケットでご覧いただけますので、こちらもぜひ。

▷関連ブログ「弥生時代の“ワザ”に挑む!石製鋳型を用いた銅鐸の復元制作(前編)」の記事を読む
▷関連ブログ「弥生時代の“ワザ”に挑む!石製鋳型を用いた銅鐸の復元制作(後編)」の記事を読む

夏休みはぜひきゅーはくにお出かけください。

憧れの東洋陶磁 ― 大阪市立東洋陶磁美術館の至宝

会期 2023年7月11日(火)~ 9月3日(日)

会場 九州国立博物館

開館時間 9時30分〜17時00分(入館は16時30分まで)
特別展開催期間中の金曜・土曜は【夜間開館】
9時30分〜20時00分(入館は19時30分まで)
*閉館時間は変更されることがあります。

休館日 月曜日 *ただし8月14日(月)は開館

観覧料 一般 1,700円、高大生 1,300円、小中生 900円

主催 九州国立博物館・福岡県、大阪市立東洋陶磁美術館、読売新聞社
共催 公財)九州国立博物館振興財団協力

九州国立博物館 公式サイト https://www.kyuhaku.jp/

カテゴリ: 展示・イベント