なりきりOPAMの楽しみ方(後編)
大分県立美術館(OPAM/オーパム)にて開催中のなりきり美術館。なりきり美術館は、アーティストの井上涼さんが世界のびじゅつをテーマに、作詞・作曲・アニメ・歌のすべてを手がけるNHK Eテレの人気番組『びじゅチューン!』とコラボした展覧会です。『びじゅチューン!』の歌になったびじゅつ作品に関わる複製や映像をつかった「なりきり」体験が楽しめます。その見どころをブログで紹介する体験ツアーの後編です。
▷関連ブログ「なりきりOPAMの楽しみ方(前編)」の記事を読む
OPAM1階では、見返り美人と「ムンクの叫びラーメン」の名物店長がお出迎え。
まずは前編の体験ツアーをおさらい。
OPAM1階アトリウムで井上涼さんと一緒に大分の歴史や文化を巡ったら、3階の展示室へと進みます。
3階には「おおいた×びじゅつ」を楽しむための7つのテーマ(部屋)が用意されています。前編では「波」の部屋と「水墨」の部屋をご紹介しました。さて、次はどんな部屋でしょう?
「雪舟×豊後」の部屋
室町時代の水墨山水画の大家として有名な雪舟は、中国で絵画を学び帰国した後、豊後(ぶんご、現在の大分県)に滞在して制作を行なった時期もあり、大分とゆかりの深い人物です。
雪舟の代表作として知られる国宝《山水長巻》の高精細複製品にご注目。この部屋では、全長16メートルにも及ぶながーーい絵巻の、はじめから終わりまでの全場面を一気に見ることができます。実物展示で全場面を見ることができる機会はほとんどありません。ほんものでは難しいことが実現できるのも、高精細複製品ならではですね。
『びじゅチューン!』の「通勤フロム山水長巻」では、寝坊したOLまりえが山あり谷あり海ありの通勤路を疾走します。実家から駅までの長い道のりには、《山水長巻》に描かれた風景が次々と登場しているのにお気づきでしょうか?
『びじゅチューン!』通勤フロム山水長巻 (c)井上涼・NHK2021
高精細複製品と一緒に並べられたアニメーションのイラストパネルを見比べながら、まりえが通った景色を探してみましょう。
「雨と水」の部屋
この部屋には、大分出身の近代日本画家・福田平八郎が描いた《水》をはじめ、「雨」や「水」にまつわる作品が集められています。それぞれの絵画の中で、雨や水はどのように表されているでしょうか?
福田平八郎《水》(大分県立美術館蔵)
江戸後期に浮世絵師として活躍した歌川広重《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》の摺りの工程がわかる複製見本も一緒に展示しています。版を重ねるごとに激しくなる雨の表現にも注目してみましょう。
おみやげに、雨が降っていない「大はしあたけの夕立」の絵はがきをプレゼント。持ち帰って自分だけの雨を絵はがきに描いてみてくださいね。
「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」の摺り工程見本
展示室内でおみやげの絵はがきを配布。この絵はがきには雨の線がありません。あなたならどんな雨を降らせる?
「おおいた×びじゅつ」の旅はまだまだ続きます。次はどんなテーマかな?と考えながら見ていくのも楽しいですね。
「美人画」の部屋
掛け軸の前に立ち、見返り美人に変身。自分の動きに合わせてモニターの中の見返り美人が動きます。
江戸時代中期、浮世絵の祖として名高い菱川師宣が肉筆で描いた《見返り美人図》。彼女はなぜ振り返っているのでしょう?前後のストーリーを想像しながら、美人になりきってポーズを決めてみましょう。
ここでは、師宣と同じように肉筆美人画を得意とした、大分出身の絵師たちの人物画を展示しています。絵の中の美人たちがどんなポーズをしているか、見比べてみるのもおもしろいかもしれません。
歌川豊春《観梅図》(大分県立美術館蔵)
「子ども」の部屋
麗子は何を考えている?「デジタル顔はめ」で麗子になりきり。
近代洋画家・岸田劉生が愛娘を描いた《麗子微笑》は、不思議なほほ笑みを浮かべる麗子が印象的です。みなさんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。 絵の中の少女はなにを考えているのでしょう?「デジタル顔はめ」で麗子になりきってみましょう。 ほんものの重要文化財《麗子微笑》(東京国立博物館蔵)も展示されていますよ。このほか、大分市出身の日本画家・髙山辰雄《食べる》など、さまざまな子どもの姿を描いた作品を楽しむことができます。
岸田劉生筆 重要文化財《麗子微笑》(東京国立博物館蔵)
いよいよ次が最後の展示室です。
「風神・雷神」の部屋
風神・雷神スイッチに乗り、風と雷を巻き起こします。
目に飛び込んでくるのは、金色の部屋に浮かび上がる《風神雷神図屏風・夏秋草図屏風》(高精細複製品)。琳派を代表する絵師であり、江戸時代に京都で活動した尾形光琳が「風神雷神図屏風」を描いたおよそ100年後、光琳を慕う江戸の絵師・酒井抱一がその裏に描いたのが「夏秋草図屏風」です。現在は表と裏が分けられて別々の屏風として保存されていますが、高精細複製品では表と裏が一体となった元の姿を再現しています。この屏風の表と裏には深い関係があるのです。
屏風の足元にある風神スイッチ・雷神スイッチの上に立つと、風や雷が巻き起こります。そのとき、裏側の夏秋草図屏風では何が起こるでしょう…?
さらに奥に進むと、大分県日田市出身の洋画家・宇治山哲平が描いた《弾む》が出迎えます。幅14メートルを超える大作で、俵屋宗達が描いた《風神雷神図屏風》にインスピレーションを受けて制作されたといわれています。ほんものの迫力は、ぜひ展示室で体感してみてください。
宇治山哲平 《弾む》(大分県立美術館蔵)
会場内の体験型コンテンツは全て写真撮影OKです。
素敵な写真が撮れたらぜひ、「#なりきり美術館OPAMフォトコン」のハッシュタグと一緒にTwitterやInstagramに投稿してくださいね。ベストショットに選ばれた8名の方に『びじゅチューン!』グッズなどをプレゼントします。
みなさんの楽しいなりきり写真をお待ちしています。
▷なりきりOPAMフォトコンテストの詳細をみる(OPAMウェブサイトへ)
なりきりOPAM体験ツアーはこれにておしまい。あなたはどの部屋が気になりましたか?
OPAMでのなりきり美術館は2021年5月9日(日)まで開催中です。お近くにお住まいの方は、ぜひ足を運んでみてくださいね。
びじゅチューン!× OPAM なりきり美術館
日時:2021年2月19日(金)~ 5月9日(日) 10:00~19:00
会場:大分県立美術館(〒870-0036 大分市寿町2番1号)
休展日:2021年3月22日(月)、3月29日(月)、4月19日(月)
主催:びじゅチューン!× OPAM なりきり美術館実行委員会、公益財団法人大分県芸術文化スポーツ振興財団・大分県立美術館、文化財活用センター、NHK大分放送局
料金:一般 300(250)円、大学・高校生 200(150)円
※1階 アトリウムは無料
※会期、開館日、開館時間、入館方法等については、諸事情により変更する場合がありますので、OPAMウェブサイトでご確認ください。
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- 2021年04月20日 (火)