「日本美術のとびら」に「さわる」コーナー登場
2024年1月から、東京国立博物館の本館特別3室「日本美術のとびら」に新しいコーナーが加わりました。 「日本美術のとびら」は、高精細複製品やデジタル技術を使って日本美術と遊ぶ体験型展示スペースです。2021年の開室当初からみなさんにお楽しみいただいている3つのコーナー「みる」「たのしむ」「かんじる」に加えて、今回仲間入りしたのが「さわる」コーナー。
「日本美術のとびら」内のデジタルコンテンツ「8Kで文化財 ふれる・まわせる名茶碗」
「さわる」コーナーでは、デジタルコンテンツ「8Kで文化財 ふれる・まわせる名茶碗」を体験することができます。重さもかたちも実物の文化財そっくりに作った茶碗型コントローラーを手に取りながら、70インチの大型モニターに8Kで映し出される名茶碗の映像を自由自在に鑑賞するコンテンツです。
シャープ株式会社・東京国立博物館とプロトタイプ版を共同開発し、2020年東京国立博物館において初公開した本コンテンツ。その後、体験できる茶碗のラインナップを6作品に増やし、愛知県陶磁美術館や九州国立博物館で公開してきました。
体験できる茶碗は6つ。左から(1)「志野茶碗 銘 振袖」、(2)「黄瀬戸胴紐茶碗」(愛知県陶磁美術館)、(3)「黒楽茶碗 銘 尼寺」、(4)「油滴天目」(九州国立博物館)、(5)「青磁輪花茶碗 銘 馬蝗絆」、(6)「大井戸茶碗 有楽井戸」(1、3、5、6は東京国立博物館)
「さわる」というテーマの通り、手に持ったときの重みや手ざわりなども茶碗の魅力のひとつです。展示ケース越しでは伝えることが難しい「手取り」と呼ばれる見どころを、このコンテンツではデジタル技術によって体験できます。モニター上に8Kで映し出される茶碗の映像と手に持った茶碗型のコントローラーが連動するため、まるで手に取ったような感覚で茶碗を鑑賞することができるのです。また、茶碗を拡大したり、見どころの解説を聞くことができたりと、デジタルならではの仕掛けもあります。
昔の持ち主が手に取って茶碗を愛でたのと同じように、茶碗の底や裏側の隅々まで、好きな角度から茶碗を楽しんでみてください。
白い丸印を画面の中央に合わせると、見どころを聞くことができます。見どころは全部で3つ。
このコンテンツとあわせてご覧いただきたいのが、本館2階4室で開催中の特集展示「茶碗 茶の湯を語るうつわ」です。
4室のテーマは「茶の美術」。展示室リニューアル後の初展示となるこの特集では、日本の伝統文化を代表する茶の湯の主役ともいうべき茶碗をとりあげます。
「茶碗 茶の湯を語るうつわ」会場風景
茶の湯は、中国宋よりもたらされた抹茶による喫茶法が室町から安土桃山、江戸時代にかけて、僧侶や武家、町人のあいだに広く浸透するなかで、遊芸として発展しました。16世紀中葉から17世紀初頭にかけた茶の湯隆盛期に、日本で見立てられた中国、朝鮮、東南アジアのさまざまな碗類のほか、日本で茶の湯のためにつくられた楽茶碗や美濃や高取の茶碗など、館蔵品を中心に個性豊かな作品とその魅力を紹介します。
本特集では、「ふれる・まわせる名茶碗」で取り上げた茶碗のうち「黒楽茶碗 銘 尼寺」の実物を展示しています。
「黒楽茶碗 銘 尼寺」長次郎 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館
「ふれる・まわせる名茶碗」で手取りを感じてみて。
「黒楽茶碗 銘 尼寺」はまさに手取りを感じていただきたい茶碗のひとつ。両手にぴったりフィットするよう、かたちだけでなく、重さも大きさも考え抜かれています。特集展示とデジタルコンテンツをセットで楽しめば、目の前の茶碗が今までとは少し違ってみえるかもしれません。
特集展示「茶碗 茶の湯を語るうつわ」は3月10日(日)まで。ぜひこの機会に東京国立博物館へお越しください。
日本美術のとびら
会場:東京国立博物館 本館特別3室
開館時間:9:30~17:00、金・土曜日は19:00まで(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし月曜日が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に休館)
観覧料金:総合文化展観覧料(一般1,000円、大学生500円)もしくは開催中の特別展観覧料[観覧当日に限る]でご覧いただけます。
詳細はトーハクウェブサイト[https://www.tnm.jp/]をご確認ください
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- 2024年02月01日 (木)