ワークショップ「ほとけさまに服を着せよう!」
文化財活用センター〈ぶんかつ〉は、先端技術を用いて国立博物館の収蔵品の複製やデジタルコンテンツを開発し、それらを活用する活動を行なっています。
このブログでは、奈良国立博物館が2021年度に制作した「阿弥陀如来立像(裸形)」の活用についてご紹介します。
2023年の5月に、奈良博のなら仏像館と新館をつなぐ地下回廊の一角に、仏教美術について体験的に楽しく学べる、ならはく教育普及スペース「ちえひろば」がオープンしました。
「ちえひろば」では、さまざまなワークショップを定期的に開催しています。そのうちの一つが、とくべつワークショップ「ほとけさまに服を着せよう!」です。
このワークショップでは、〈ぶんかつ〉のご協力のもと製作した、裸の仏像の複製に服を着せる体験ができます。
裸の仏像の複製品
裸の仏像の複製品に服を着せた姿
この複製の原品は奈良博所蔵の阿弥陀如来立像(裸形)です。
奈良博所蔵の阿弥陀如来立像(裸形)
▷ColBaseで「阿弥陀如来立像(裸形)」を見る
この仏像は鎌倉時代(13世紀)につくられ、かつては裸のままではなく、服を着せた姿でおまつりされていたと考えられています。私たちが服を着るように、仏像にも服を着せることで、まるでほとけさまが人びとの目の前に実際に現われたかのようなリアルさを出そうとしたのではないか、といわれているのです。
このワークショップでは、昔はどのような姿でおまつりされていたのかを知ることができます。また仏像は、「如来」「菩薩」「明王」「天」の4つのグループに大きく分けられるのですが、そのなかの如来というグループの仏像がどのように服を着ているのかを学べるのも、このワークショップの大きな特徴です。
阿弥陀如来をはじめとした如来のグループの仏像が、どのように服を着ているのかご存知でしょうか。
実は、如来が身にまとっているのは、長方形の布だけ。1枚から3枚の長方形の布を使い、体に巻き付けるようにして着ているのです。
ワークショップで用いる3枚の長方形の布ならびに紐
しかし、展示されている如来の仏像を見ても、色があまり残っていないことも多く、何枚の布をどのように身にまとっているのか、わかりづらいことの方が多いかと思います。このワークショップでは、実際に仏像の複製に着付けをすることで、如来の仏像の服の着方をよくおわかりいただくことができ、仏像の鑑賞もより楽しめます。
着付けが完成した後には、仏像の複製と同じポーズで記念撮影を楽しむこともできます。
お子さんから大人の方まで、幅広い年齢の方々にこのワークショップにご参加いただいており、大変人気のある催しとなっています。
ワークショップの様子
奈良博に度々お越しいただいている方々にも大変好評で、「仏像の展示をよく見に来ているけれど、如来の仏像がこんな風に布を身にまとっているなんて初めて知った」というお声をよくいただきます。このように実際に服を着付けながら仏像の服の着方を学べるのは、複製品だからこそできる体験だといえるのではないでしょうか。
このワークショップは、毎月第2日曜の午前10時30分から午後3時30分にかけての時間帯に開催しています。
直近では、7月9日(日)、8月13日(日)に開催予定です。
参加費無料・申込不要ですので、ぜひお気軽にお立ち寄りください!皆様のご参加をお待ちしております。
とくべつワークショップ「ほとけさまに服を着せよう!」
裸の仏像のレプリカに服を着せるワークショップです。
ほとけさまがどのように服を着ているのか、実際に着付けをしながら学べます。
日程 毎月第2日曜日
時間 10:30~15:30
場所 ならはく教育普及スペース「ちえひろば」(当館の地下回廊にあります)
入場・参加料 無料
事前申込 不要
ならはく教育普及室ウェブサイト https://edu.narahaku.go.jp/
奈良国立博物館・公式サイト https://www.narahaku.go.jp/
奈良国立博物館・公式Twitter https://twitter.com/narahaku_PR
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- 2023年06月29日 (木)