動画公開!「あつ森」で「江戸時代の着物」に親しもう
文化財活用センター〈ぶんかつ〉では、Nintendo Switchのゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』の中に、日本美術をテーマにした「ぶんかつ島」を作っています。
この度、みなさんに「ぶんかつ島」をより一層楽しんでもらえるよう、東京国立博物館(トーハク)の研究員の解説とともに島をめぐる動画を公開しました。このブログでは動画のみどころと撮影の裏側をちょっぴりご紹介します。
「ぶんかつ島」は、2022年の8月に夢番地を公開しているので、すでに遊びに来てくださった方もいらっしゃるかもしれません。
島のなかには、国立文化財機構が所蔵する絵画や工芸、考古など文化財をモチーフにした複数のエリアがあり、「ぶんかつ島」全体でさまざまな分野の日本美術に親しんでいただけるようになっています。
今回は「江戸時代の着物」をテーマに、日本東洋染織がご専門の小山弓弦葉研究員(東京国立博物館工芸室長)と一緒に着物に関するスポットを巡りました。お相手は、「ぶんかつ島」の島づくりを担当した、デジタル資源担当の川合(カワイ)さんです。
「ぶんかつ島」マップ
江戸時代のお花見「小袖幕(こそでまく)」ー花下遊楽の間
「ぶんかつ島」島民代表“すたっふ”の家の2階にあるのが「花下遊楽の間」。今から400年ほど前のお花見の様子を描いた、国宝「花下遊楽図屏風」(狩野長信筆)をモチーフにして作った空間で、一年中、お花見が楽しめます。
▷ColBaseで「国宝 花下遊楽図屏風」を見る
花下遊楽の間
今年は上野公園にも4年ぶりに、桜の木の下に宴の賑わいが戻ってきましたが、みなさんもお花見を楽しまれたでしょうか?しそびれてしまった方も大丈夫!「ぶんかつ島」へお越しください。
さて、ここで、小山さんが注目したのは「小袖幕(こそでまく)」。
あまり聞きなじみのないワードかもしれませんが、江戸時代には自慢の着物(小袖)を並べて幕のように飾っていたそう。なんと贅沢な使い方。くわしくは動画で解説しています。
ちなみに、この「花下遊楽の間」で小袖幕に使われている着物は、すべてトーハクの所蔵品を元にしています。動画では、2つの着物を取り上げてお話ししていますが、他の着物も「ColBase(コルベース)」で画像と解説を見ることができるので、ゲーム画面と見比べてみると楽しいです。
江戸時代のいろんな恋模様 ー洛中洛外エリア
次に二人が向かったのは、国宝「洛中洛外図屛風(舟木本)」(岩佐又兵衛筆)をモチーフにした、「洛中洛外エリア」。国宝「洛中洛外図屛風(舟木本)」には、桃山時代から江戸時代初期ごろの京都の町並みが描かれていて、清水寺、八坂神社、祇園祭など、今も訪ねることのできる名所や行事もみられます。町中を行き交う人々はじつに2500人超え!動画では人々の着ているものからわかる職業や身分なども解説しています。
さらにここでは、店先の暖簾(のれん)の柄にもご注目!カワイさんのこだわりが光ります。
「あつ森」では、あらゆる創意工夫で、ゲーム内の家具や道具をなにか別のものに見立てることがありますが、この店先の暖簾は浴衣を代用して表現しています。風ではたはたと揺れる様子は暖簾そのもの!
洛中洛外エリア
なかでも、小山さんがまっさきに気付いたのが動画でも紹介している「雁金屋(かりがねや)」の暖簾の柄。
「雁金屋」とは安土桃山時代から続く呉服商です。動画のゲーム内で小山さんが着用している「ふゆきなこそで いまふう」、「ふゆきなこそで えどふう」のモチーフである〈冬木小袖〉の模様を描いた尾形光琳の生家でもあります。
雁金屋をモチーフにした暖簾
e国宝で「国宝 洛中洛外図屏風(舟木本)」(部分)
「雁金屋」以外の暖簾の柄も、「洛中洛外図屏風」に元ネタがありますので、e国宝で拡大して探してみると盛り上がるかも!
▷e国宝で「洛中洛外図屛風(舟木本)」を見る
ここで、カワイさんによる江戸の町並みづくりの裏話を。
「ぶんかつ島」にしれっと存在するこの江戸の町並み。「あつ森」で遊んだことのあるみなさんには想像がつくかもしれませんが、じつはかなり地道な下準備があったそうです。
「あつ森」には、洛中洛外図に出てきそうな“和風”な家を持つどうぶつがいるのですが、江戸の町並みをつくるため、このどうぶつたちに「ぶんかつ島」へ引っ越してきてもらわなければなりません。カワイさんはお目当ての和風のどうぶつに会えるまで何度も離島に通ったとか。
洛中洛外エリアの建設風景
少しずついまの町並みがみえてきました
また、このエリア、実際の京都の町のような「碁盤の目」状になっていることにお気づきでしょうか?
これを再現するために、案内所のたぬきちの元へ何度も通い「あつ森」の通貨“ベル”をたくさん納めて「碁盤の目」になるように大規模な開発工事を……、気が遠くなってきました。五条大橋をモデルにした橋もかかっています。
「ぶんかつ島」で、もっとも作るのに時間がかかったエリアと、カワイさん談。一双の屏風に2500人を超える人々を描き込んだ岩佐又兵衛に通ずるものを感じてしまいます。
収録風景
小山さんのお着物、春らしくて素敵。
撮影は、小山さんと、カワイさんが、実際に「あつ森」をプレイしながら進めていきます。
小山さんはこの収録が「あつ森」初プレイ。解説をしながらコントローラーを操作していくのは少々むずかしく、「あつ森」経験者の職員に操作をバトンタッチ!
小山さんの解説に合わせて、絶妙な動きをつけていきます。
すでに動画をご覧になった方からは、「小山さんの解説がおもしろい!」、「癒された~」などとご好評をいただいています。もうすぐ連休という方も多いかもしれませんが、ほっと一息、「あつ森」を通じて日本美術や、江戸時代の着物に親しんでみる時間はいかがでしょうか。そのあとに、トーハクで展示を見てみるとあらたな発見ができるかも。
連休関係なく仕事だよ!という方も、動画は約12分。少し手を休めて、みなさんのリフレッシュになれば幸いです。
動画の視聴はこちらから!
【あつまれどうぶつの森】あつ森でわかる!着物と恋心
日本美術をテーマにした「ぶんかつ島」を舞台に研究員が解説!
https://youtu.be/odOSK_c8jyI
「あつ森」プレイヤーの方は、ぜひ「ぶんかつ島」にもお出かけください!着物を着て日本美術をめぐるお散歩、おすすめです。動画のなかで二人が着用している着物は、「ぶんかつ島」でマイデザインを配布しているのであわせてチェックしてみてくださいね。
小山さん着用「ふゆきなこそで えどふう」、カワイさん着用「みかえりびじんふう きもの」
「ぶんかつ島」夢番地コード DA-4716-9183-8075
これまでの「あつ森」に関する取り組み、マイデザインの情報もこちらをご覧ください。
▷あつ森・夢番地「ぶんかつ島」であそぼう!
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- 2023年04月27日 (木)