ワークショップで絵巻物の世界に入り込もう!
文化財活用センター〈ぶんかつ〉は、先端技術を用いて国立博物館の収蔵品の複製やデジタルコンテンツを開発し、それらを活用する活動を行なっています。
このブログでは、私が所属する奈良国立博物館(奈良博)がこの事業の一環として2024年度に制作した絵巻物「泣不動縁起(なきふどうえんぎ)」と「矢田地蔵縁起(やたじぞうえんぎ)」の複製についてご紹介します。
奈良博の地下回廊にある、ならはく体験スペース「ちえひろば」では、年末年始をのぞく開館日は毎日、仏教美術をはじめとした文化財に親しめるワークショップを開催しています。
毎月第4日曜日には、絵巻物について体験的に学べる「とくべつワークショップ『絵巻物をみて!きいて!さわろう!』」を開催しており、2023年11月16日に公開のぶんかつブログでは、当館所蔵の国宝の絵巻物「辟邪絵(へきじゃえ)」と「地獄草紙(じごくぞうし)」の2種類をテーマに取り上げて開催したワークショップについてご紹介しました。
▷関連ブログ「ワークショップ『絵巻物をみて!きいて!さわろう!』」を読む
▷▷ColBaseで「辟邪絵」を見る
▷▷ColBaseで「地獄草紙」を見る
こちらのワークショップ「絵巻物をみて!きいて!さわろう!」は、絵巻物を大型化した装置、その名も「びっくり絵巻」を使ってボランティアが読み聞かせをした後、参加者の方がたに、絵巻物の実物大の複製品に実際に触れながら、間近に鑑賞していただくワークショップです。
このとくべつワークショップは、2023年に開始して以来、実はまだまだ進化中!
国宝「辟邪絵」や国宝「地獄草紙」に続き、2025年には、ぶんかつとの共同事業で新たに制作した当館所蔵の絵巻「泣不動縁起」と「矢田地蔵縁起」の複製品が、ワークショップのお品書きに加わりました。
▷▷ColBaseで「泣不動縁起」を見る
▷▷ColBaseで「矢田地蔵縁起」を見る
今回は、「泣不動縁起」と「矢田地蔵縁起」のワークショップの様子について、少しご紹介します。
泣不動縁起
この絵巻物がつくられたのは、今から約600年前の室町時代。
滋賀県大津市の園城寺(おんじょうじ)(三井寺[みいでら])のお坊さんである証空(しょうくう)さんと、証空さんが信仰していた不動明王というほとけさまにまつわる、不思議なお話です。

「泣不動縁起」の一場面。左側に描かれているのが証空さん。
証空さんの尊敬するお師匠さまが、重い病気にかかってしまいます。証空さんは、お師匠さまの病気を代わりに引き受けて救おうとする…という物語です。
お師匠さまの病気を代わりに引き受けると覚悟を決めた証空さんは、いったいどうなってしまうのか…?
ハラハラドキドキの展開が続き、ワークショップの参加者も、物語の世界に入り込み、夢中になって聞き入っている様子でした。

「泣不動縁起」の読み聞かせの様子
さらに、「泣不動縁起」には、証空さんやお不動さまのほかにも、魅力的なキャラクターがさまざま登場するのも見どころ。陰陽師の安倍晴明のほか、怪しげなもののけ達なども登場します。

陰陽師の安倍晴明が登場するシーン。
一番右には安倍晴明が、左上にはもののけ達が描かれています。
参加者の皆さんは、「これがあの有名な安倍晴明だ!」「ストーリーがとても面白い」と感想を口にしながら、証空さんを取り巻く物語に見入っていました。

実物大の絵巻物の複製品に実際に触れて鑑賞する様子
矢田地蔵縁起
そしてもう一つの「矢田地蔵縁起」は、今からおよそ500年前の室町時代に描かれた絵巻物で、奈良県の大和郡山(やまとこおりやま)市にある矢田寺のお地蔵さまと一緒に、死後の世界をめぐるという内容です。
中には、地獄のオソロシイ世界をめぐるシーンも…。

「矢田地蔵縁起」のワンシーン
怖いもの見たさからか(?)、参加者の方がたは、地獄の世界など、次々と出てくる死後の世界に興味津々の様子。
地獄の場面の恐ろしさが少しでも薄れるようにと、読み聞かせをするボランティアはお地蔵さまのお面を着けてお地蔵さまになりきって、参加者の皆さまを死後の世界にご案内しました。

「矢田地蔵縁起」の読み聞かせの様子
「泣不動縁起」と「矢田地蔵縁起」のどちらの回にも、120名を超えるご参加をいただき、絵巻物の世界を楽しんでいただきました。
読み聞かせでストーリーが楽しくわかり、実物の絵巻物の複製品に触って間近に鑑賞できるのは、このワークショップならでは!
皆様もぜひ、第4日曜日に開催されている、このワークショップにご参加ください!
とくべつワークショップ「絵巻物をみて!きいて!さわろう!」
日程 毎週第4日曜日
時間 午前10:30~午後3:30
場所 ならはく体験スペース「ちえひろば」(地下回廊)
入場・参加料 無料
事前申し込み 不要
*地下回廊の「ちえひろば」では、仏像をより楽しむことができるワークショップをほかにも開催しています。お気軽にご参加ください。詳細は奈良博ウェブサイトをご覧ください。
ならはく教育普及室ウェブサイト https://edu.narahaku.go.jp/
奈良国立博物館・公式サイト https://www.narahaku.go.jp/
奈良国立博物館・公式X https://x.com/narahaku_PR
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- 2026年01月22日 (木)