ぶんかつアウトリーチ ~「見て、感じて、楽しむ夏秋草図屛風」編~

文化財活用センター〈ぶんかつ〉企画担当では、“あらゆる地域で、子どもから大人まですべての人びとが、日本の文化財に親しみ、身近に感じることができる”よう、「文化財をデリバリー ぶんかつアウトリーチプログラム」を実施しています。
昔の灯りを再現した照明で複製屛風を鑑賞する様子
前回のブログでは、松林図屛風の複製を使用した体験型プログラムについてご紹介しました。
▷▷関連ブログ ぶんかつアウトリーチ ~「自分だけの松林図屛風をつくってみよう!」編~ の記事を読む
今回は、東京国立博物館が所蔵する重要文化財《風神雷神図/夏秋草図屛風》の複製を使用した、対話形式のプログラムをご紹介します。
現在7つあるプログラムのうち、「見て、感じて、楽しむ夏秋草図屛風」では、自分と同じ高さの床に置いた屛風に近づき、作品や描かれているものなどについて見て、感じて、楽しみます。
複製だからこそガラスケースなしで、間近で鑑賞していただけます。
対話形式のプログラムで、じっくりと見て感じたことをお互いに言葉にすることを通じて、文化財に親しみ、多様な見方を受け入れることを目的としています。
照明の色や、自然光での見え方の違いも感じることができます。
なお、こちらのプログラムでは応用編として、言葉での表現が難しい参加者のためのツールもご用意しており、特別支援学級、特別支援学校、院内学級等でも実施しています。
鑑賞で感じたことをアウトプットするための3種類のツールをご紹介します。
右上から時計回りに、ツール①屛風の裏側に自由に書き込めるミニ屛風、ツール②ぬりえ、
ツール③・④夏秋草図屛風シールセット
ツールは3種類の中からその場で選んでいただく方法や、ご利用機関の担当の先生が事前に合わせたツールをピックアップしておく方法など、状況に応じてさまざまな対応が可能です。
ツール①自由に描きこめる屛風体験の様子 画材も自由に選んでいただけます。
ツール②シールセット体験の様子 再剥離可能な素材でできています。
ツール③ぬりえセット体験の様子 自由な色遣いで表現しています。
プログラム実施後、参加された皆様にはお土産用のミニチュア屛風もお渡ししています。
ミニチュア屛風セット(風神雷神図/夏秋草図屛風)
以前プログラムに参加してくれた小学5年生の感想を、一部ご紹介します。(原文ママ)
「屏風は昔、ただの部屋を分ける物だけではなく細かい絵をかいて見る作品でもあったということを想像した。また屏風が今でも文化財として他の人に見られてることがすごいと感じた。ぼくも他の人に楽しんで見てもらうような作品をつくりたいと思った。」
「いつか、実際本物の作品を見に行きたいです。そして、そこには、他にどんな「文化財」が展示してあるのかが知りたいです!」
その人によって、またその日の気分によっても、文化財の見え方や感じ方は変わることもありますが、その気持ちを大切にしてほしいと思います。
なお、ぶんかつアウトリーチプログラムでは、実施に必要な複製品・キット一式をお貸し出しし、学校の先生や実施館の学芸員など、利用者ご自身でプログラムを行なう実施方法をお選びいただくことも可能です。
その場合でもスムーズにご利用いただけるよう、実施ガイドや原稿案、参考動画の公開も行なっています。
参考動画では、通常の講師派遣で実施したプログラムの一連の流れを記録したものと、
「番外編」として、ファシリテーター向け解説付きの、授業で気を付けたポイントや言い回しなどをお話ししている動画をご用意しています。
【YouTube再生リストはこちら】
https://youtube.com/playlist?list=PLx5mGCnZYlFBsg2vWkq652vm__XkRFGvQ&si=_eEZEoVfruSpUJet
本プログラムに限らず、教育現場や学芸員のみなさまにぜひ活用していただけますと幸いです。
※おかげさまで、2025年度実施分はすでにお申込みを締め切りました。
来年度実施のプログラムやお申込み方法については、2026年1月以降に文化財活用センターのウェブサイト等で公開予定です。
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- 2025年06月26日 (木)