ぶんかつアウトリーチ ~「自分だけの松林図屛風をつくってみよう!」編~

文化財活用センター〈ぶんかつ〉企画担当では、“あらゆる地域で、子どもから大人まですべての人びとが、日本の文化財に親しみ、身近に感じることができる”よう、「文化財をデリバリー ぶんかつアウトリーチプログラム」を実施しています。
昔の灯りを再現した照明で複製屛風を鑑賞する様子
ほんものと見分けるのが難しいくらいの高精細ので作られた文化財複製と、文化財への興味や理解を深めるための教育プログラムをセットにして貸し出しを行なっています。
「文化財をデリバリー」という言葉のとおり、学校の教室や公共施設の会議室、ホール、講堂などに持って行き、身近な場所で楽しんでもらうことを目指しています。
毎年多くのお申し込みをいただき、ぶんかつアウトリーチを開始した2019年から、ご利用いただいた機関は100件、参加者は10,000名を超えました。
ご利用例として、
•学校の授業(図画工作・美術・古文・総合的な学習の時間・総合的な探求の時間など)
•美術館・博物館でのワークショップ
•博物館見学の事前学習
•初任者研修などの教員研修
など、さまざまな場所や目的でご利用いただいています。
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今回は、東京国立博物館が所蔵する国宝《松林図屛風》の複製を使用した体験型のプログラムについて、ご紹介します。
現在7つあるプログラムのうち、「自分だけの松林図屛風をつくってみよう!」では、まず国宝《松林図屛風》(長谷川等伯筆)の複製を使い、鑑賞を行ないます。
質問も交えながら、対話形式でお話をします。
博物館のガラスケースの中の展示とは違い、自分と同じ高さの床に置いた屛風に近づいて鑑賞し、色やかたち、配置に注目してじっくり見ていただきます。
鑑賞する人の目線と同じ高さで、作品と向き合うことができます。
実際の松林を想像しやすいよう、作者である長谷川等伯の故郷・石川県で撮影した松林の風景の写真も使いながら、お話します。
写真と屛風の松を比べ、同じところ・ちがうところを探してみます。
鑑賞後は、ものづくりを通じて文化財を身近に感じてもらうためのツールもご用意しています。
屛風型のワークシートに松を描いたり、配置を工夫しながら松の木のスタンプを押したりと、自分だけの松林図屛風を自由につくります。
屛風を自由に表現できるワークシート
松を自由に配置できるスタンプセット
スタンプや筆ペンを使い、自分だけの屛風をつくる様子
作成した屏風は、完成後、複製の屛風と並べて鑑賞することもできます。
体験後は、参加者にお土産キットとしてミニ松林図屛風をお渡ししています。
お家に持ち帰ってもらい、ご家族や周りの方と文化財についてお話しいただけたらと考えています。
参加者の感想を一部ご紹介します。(原文ママ)
「作者はどんな気持ちでかいていたのか、どんな人だったのか、気になります。」(小学6年生)
「いろいろな光や近くで見たり遠くで見たりして、一つ一つのよさがあり、感じ方がみんなちがうので聞くのがおもしろかったです。」(小学6年生)
「昔の日本が使っていた屏風は食事や着替えなどに使われていたことは知っていたが今の日本は文化財を大切にするために、気温や室内の明るさを調整しながら守っていることについては初めて知った。次の時代のために私たちは文化財をしっかり守っていく必要があると考えた。」(中学生)
お土産キットは参加者の人数に合わせてご用意します。
このほかにも、各種プログラムをご用意していますので、参考にしていただけますと幸いです。
▷▷ぶんかつアウトリーチプログラム一覧
次回は、また別のぶんかつアウトリーチプログラム「見て、感じて、楽しむ夏秋草図屛風」についてご紹介します。ぜひこちらもご覧ください。
ミニチュア屛風セット(風神雷神図/夏秋草図屛風)
※おかげさまで、2025年度実施分はすでにお申込みを締め切りました。
来年度実施のプログラムやお申込み方法については、2026年1月以降に文化財活用センターのウェブサイト等で公開予定です。
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- 2025年06月19日 (木)