
文化財活用センター〈ぶんかつ〉と文化財防災センター〈ぶんぼう〉は、近年頻発している災害に対し、被災した地域の文化財を一つでも多く救出し、のちの世につないでいく災害時緊急支援の活動のためのクラウドファンディングプロジェクトを始動します。ご支援のほどよろしくお願いいたします。
〈ぶんぼう〉とは
文化財防災センター〈ぶんぼう〉は、頻発する災害に対して、3つのミッションを実現するための文化財防災のナショナルセンターとして、2020年10月に発足しました。
- 被害を出さない
- 被害が出てもその度合いを最小限にとどめる
- 大きな被害が出た場合の救援・支援活動を効果的に実現する
奈良県に本部を置き、専任の職員5名に加え、国立文化財機構の各施設(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館、皇居三の丸尚蔵館、東京文化財研究所、奈良文化財研究所、文化財活用センター)の職員が併任することで、日本全国をカバーする文化財防災体制を構築しています。
平時には、みなさまがお住まいの都道府県内の防災体制づくりのお手伝いと、専門家を中心とした「文化遺産防災ネットワーク推進会議」という会議の運営を通して、文化財防災に関するネットワークづくりに取り組んでいます。
災害発生時には、被災地の人たちとともに、文化財の被災状況の調査、そして必要に応じて救出活動や応急処置などの活動を行なっています。
歴史的建造物の被害状況調査(令和5年能登地方を震源とする地震)
文化財防災・救援プロジェクト2025について
地震、台風、集中豪雨。日本では毎年のように大きな自然災害が発生しています。
これらの災害は人びとの尊い命や生活基盤を奪うだけでなく、地域の文化財、文化遺産にも深刻な被害をもたらします。
宮城県東松原市野蒜地区で被災した仏像(東日本大震災)
文化財は、そこに住む地域の歴史・文化が詰まった「たからもの」。
毎日みていた風景、拝んでいた仏像、地域のみんなが参加するお祭り、そうした日常に当たり前にあると思っていたものが完全に失われると、二度と取り戻すことはできません。
災害時には、人命救助、インフラのすみやかな復旧が優先されますが、この世に一つしかない文化財の救出を速やかに実施することは、被災後の地域の復興を推し進めることにつながります。
津波により収蔵庫前に流入した瓦礫の撤去作業(東日本大震災)
〈ぶんぼう〉は、災害により混乱した現場が立ち直るまでの間、現地調査の実施、必要な資材の調達と輸送、文化財の扱いに慣れた博物館の学芸員や文化財修理の専門家の派遣など、被災地で文化財保護・地域支援活動を行なっています。
今回のプロジェクトでは、被災文化財の救援にかかる初動対応のためのご寄附をお願いしております。
地域の人たちが技術者に教わりながら自分たちで修復作業を行なう取組(東日本大震災)
目標金額:500万円
寄附金の使途:被災文化財の救援にかかる初動対応費用
たとえば、洪水により古文書などの紙資料が被災すると、1回の出動でおよそ50万円が必要となります。
<1回の出動で必要な費用> ※過去の実績より算出した参考値
- 水損古文書の救援活動に必要な資材調達:10万円
- 上記の輸送費:5万円
- 専門家の派遣費用(交通費・宿泊費):20万円
- 収蔵庫・冷凍庫の調達費:15万円
複数の建物が被害を受け、出動回数が増えると、一つの洪水で50万円×出動10回=500万円 が、緊急に必要となることもあります。
※本プロジェクトは、実行内容の規模は期日までに集まった支援総額に応じて決定します。
※本プロジェクトはAll in方式のため、目標金額に到達しなかった場合でも成立となります。
〈ぶんぼう〉では、2024年1月の能登半島地震を受け、2024年3月に石川県能登町に現地本部を開設し、被災した文化遺産の救援活動を行なってきました。
倒壊した家屋、蔵、神社、お寺などでの文化財の救出、応急処置のほか、専門家とともに歴史的建造物の調査、修復のアドバイスなどの活動を実施しています。
今回のクラウドファンディングは〈ぶんぼう〉が能登に現地本部を設置してちょうど一年が経つ、2025年3月11日から開始します。
この日は、東日本大震災が発生した、文化財防災の観点で忘れてはならない日でもあります。
神輿の救出作業(能登半島地震)
文化財の防災は、文化財自体を守るだけではなく、地域の文化、生活を守ることにつながります。
今回のクラウドファンディングでいただいたご寄附により、今後一つでも多くの文化財を救い出すと同時に、より多くの方々に文化財防災に関心をもっていただき、「地域の文化遺産を地域のみんなの力で守る」という意識を共有することを目指していきたいと考えています。
地域の宝をみんなの力で守るため、ご支援をお願いいたします。
実行メンバーからのメッセージ

私たちの暮らしの中には大切なものがあります。地域の暮らしの中で生まれ、育まれてきた、人と人とのつながり、ならわし、しきたり、お祭り…。これらこそが地域の文化遺産です。日常の中では自分にとって、地域にとって大切なものとしては意識されていないものなのかもしれません。しかし、災害によって大切な地域の暮らしが奪われた時、私たちは大きな喪失感を抱くことになります。それは故郷を失うような感覚かもしれません。復興には社会インフラとしての地域の文化の復興が欠かせません。地域の暮らしそのものである歴史や文化を復興させるために、多くのみなさまとともに、少しでも早くできる限り多くの地域の文化遺産を救出していきたいと思っています。
高妻 洋成(文化財防災センター センター長)

東日本大震災、熊本地震の際には、文化庁の担当として、被災文化財のレスキュー、修理、復旧・復興に携わりました。文化財は社会的インフラのひとつ。わが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、かつ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものです。失われたら、二度と取り戻せません。ご協力の方を、よろしくお願い申し上げます。
建石 徹(文化財防災センター 副センター長)

東日本大震災の時は宮城県に住んでいました。当時の文化財レスキュー事業の立ち上げから終了まで、そしてその後の地元を中心とした対応に関わりました。東日本大震災では発災から14年が経ちましたが、まだ処置の終えていない文化財も残っています。文化財の災害対応は長い時間がかかりますが、初動をしっかりすることで、あとの作業は時間を掛けてじっくりと取り組むことができます。1時間でも早く救援活動に入れるようにご支援をお願いいたします。
小谷 竜介(文化財防災センター 文化財防災統括リーダー)
返礼品のご紹介
ステッカー、雄勝石プレート、オリジナル軍手、文化財防災ハンドブック、ワークショップ、法人向け特典などをご用意しています。
詳細はREADYFORプロジェクトページをご確認ください。
ステッカー、雄勝石プレート、オリジナル軍手
クラウドファンディング概要(お申し込み方法)
プロジェクト期間 | 2025年3月11日(火)10:00 ~ 2025年6月9日(月)23:00 |
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目標金額 | 5,000,000円 |
寄附金の使途 | 被災文化財の救援にかかる初動対応費用 |
お申し込み方法 |
クラウドファンディングサービス「READYFOR」内のプロジェクトページから |
支援コース | 3,000円から1,500,000円まで12コース |
※支援総額が目標金額に届かなかった場合でも、期日までに集まった金額を受領させていただき、不足分を自己負担するなどして、文化財防災・救援対応を実行いたします。
※文化財防災センターへのご寄附は、一般の法人に対する寄附金とは異なる所得税・法人税の優遇措置を受けることができます。詳しくは国立文化財機構 寄附ポータルサイト[https://support-us.nich.go.jp/page02]をご参照ください。
インターネットでのお申し込みが難しい方へ
銀行振込での直接のご入金も承っています。ご希望の場合は、以下のPDFの「申込書」欄に必要事項をご記入の上、郵送、FAXまたはメールでお送りください。
〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
独立行政法人国立文化財機構 文化財活用センター
Email: bosai_kikin_cf(at)nich.go.jp
※(at)は半角@に置き換えてください。
TEL: 03-5834-2856
FAX: 03-5834-2857