展示 ・イベント

日本美術のつばさ×HANEDA

会期 2024年6月27日(木) ~  2025年3月31日(月)
会場 羽田空港
主催 文化財活用センター・日本空港ビルデング株式会社・東京国際空港ターミナル株式会社
お問い合わせ 03-5834-2856(文化財活用センター)
 

日本美術のつばさ × HANEDA

日本を訪れる海外の方々や国内の皆さまにより広く文化財に親しんでいただけるよう、東京国立博物館が所蔵する国宝・重要文化財の高精細複製品をガラスケースなしで羽田空港で展示いたします。通常は限られた期間と場所でしか見ることのできない文化財ですが、高精細複製品では近くによってじっくりとご覧いただくことが可能です。
日本美術のつばさ×HANEDAの展示のテーマは「日本の四季」。みなさまにHANEDAでご覧いただく高精細複製品は、季節にあわせて展示替えを行ないます。今回は「秋」をイメージした高精細複製品「秋草図屏風」を第2ターミナル 国際線施設 3階出発ロビーに展示します。四季折々のうつくしさを伝える日本の文化をお楽しみください。また、第3ターミナル4階 「江戸舞台」に、高精細複製品「洛中洛外図屏風(舟木本)」の右隻を展示します。( ただし、同スペースでイベント開催の場合には展示はございません。)

展示される高精細複製品と展示期間

高精細複製品 重要文化財「秋草図屏風」 制作:綴プロジェクト
展示場所 第2ターミナル 国際線施設 3階出発ロビー
展示期間 10月1日(火)~ 12月上旬(予定)

淡いグリーンが透ける、金色のなだらかな地面の盛り上がりが幾重にも連なっています。ここは、起伏に富んだ場所のようです。そこには、薄(ススキ)、菊、萩、黄蜀葵(トロロアオイ)、芙蓉(フヨウ)、女郎花(オミナエシ)といった草花が勢い良く生い茂っています。草花の種類からいって、季節は夏から秋でしょうか。多くの種類の草花が描かれていますが、色合いは白、緑、黄色系にまとめられているので、爽やかな統一感があります。 左右の端にある菊は、貝殻から作られる白い顔料・胡粉を厚く盛り上げて描かれています。左右の端の菊がほぼ同じ高さに描かれているので、右と左の屏風を入れ替えても絵がつながります。地面の盛り上がりもつながります。澄んだ秋の空の下、草花が延々と続く野辺を歩く気分でご覧ください。

複製の詳細を見る

高精細複製品「秋草図屏風」(右隻) 
原本/重要文化財 俵屋宗雪筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵
 
高精細複製品 国宝「洛中洛外図屏風(舟木本)」*右隻のみ  制作:キヤノン株式会社
展示場所

第3ターミナル4階 「江戸舞台」

*同スペースでイベント開催の場合は展示はありません

展示期間 10月1日(火)~ 12月下旬(予定)

京都の中心部を南から眺めた風景を描いています。右下にむかって斜めに流れる川は京都の東を南北に流れる鴨川で、ここよりも西(画面左方)が洛中(らくちゅう・京都の市街)、東(画面右方)が洛外(らくがい・郊外)です。右端の大きなたてものは豊臣秀吉が建てた方広寺大仏殿。老若男女、およそ2500人の人びとが暮らし、遊ぶさまが生き生きと描かれています。右側の屏風の中央やや左手にかかる大きな橋(五条大橋)では、お花見の帰りなのか、浮かれ騒いでいる集団が橋を渡っており、その先頭では、扇や桜の枝を持った人たちが踊りくるっています。最後尾には両脇を抱えられ、酔いつぶれた男性。この大騒ぎに驚いて、橋の下からは船頭さんが見上げています。遊んでいる子どもたちがいたり、喧嘩をしている人たちがいたり、一人ひとりの顔の表情に注目してみると、屏風の世界に引き込まれてしまいます。  さらに、 三十三間堂、清水寺、八坂神社、祇園祭など、今も訪ねることのできる京都の名所や行事を探してみる楽しみ方もあります。

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高精細複製品 「洛中洛外図屏風(舟木本)」(右隻)
原本/国宝 岩佐又兵衛筆 江戸時代・17 世紀 東京国立博物館蔵

 

 

展示する高精細複製品について

展示する高精細複製品は、〈ぶんかつ〉とキヤノン株式会社による共同研究プロジェクト「高精細複製品を用いた日本の文化財活用のための共同研究」の一環で制作・活用した作品と、「綴プロジェクト」から独立行政法人国立文化財機構に寄贈された作品を使用しています。

「高精細複製品を用いた日本の文化財活用のための共同研究プロジェクト」とは

共同研究プロジェクトは、より多くの人に文化財に親しむ機会とより深い文化体験を提供することを目的に、2018年10月から継続して実施し、これまで15件の高精細複製品を制作しました。ガラスケースに入れずに間近で細部まで鑑賞できる展示や、教育機関向けのアウトリーチプログラム、映像と組み合わせた体験型展示など、オリジナルの文化財ではかなわない鑑賞体験を実現しています。高精細複製品の制作には、キヤノンと特定非営利活動法人 京都文化協会が進める「綴プロジェクト」の技術を活用しています。キヤノンの入力、画像処理、出力に至る先進のデジタル技術と、京都伝統工芸の匠(たくみ)の技との融合により、作品の大きさだけではなく、絵師の筆遣い、岩絵具の鮮やかな色、金箔や金具に至るまで、オリジナルの文化財を限りなく忠実に再現しています。

「綴プロジェクト」とは

「綴プロジェクト」は、オリジナル文化財の保存と高精細複製品の活用を目的として、京都文化協会が主催し、キヤノンが共催して推進している社会貢献活動です。キヤノンの入力、画像処理、出力に至る先進のデジタル技術と、京都伝統工芸の匠(たくみ)の技との融合により、屏風や襖絵、絵巻物など古くから日本 に伝わる貴重な文化財の高精細な複製品を制作して寄贈しています。2007年からスタートした本プロジェクトは、海外に渡る以前の所有者などに寄贈する「海外に渡った日本の文化財」と、小・中学校の教科書に掲載の多い文化財などを対象に、教育現場で生きた教材として活用する「歴史をひもとく文化財」の2つのテーマのもと、毎年文化財を選定しています。

 

*原本は常設展示されていません。詳細は東京国立博物館ウェブサイト[https://www.tnm.jp/]をご確認ください。