
会期 | 2024年6月27日(木) ~ 2025年3月31日(月) |
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会場 | 羽田空港 |
主催 | 文化財活用センター・日本空港ビルデング株式会社・東京国際空港ターミナル株式会社 |
お問い合わせ | 03-5834-2856(文化財活用センター) |
日本を訪れる海外の方々や国内の皆さまにより広く文化財に親しんでいただけるよう、東京国立博物館が所蔵する国宝・重要文化財の高精細複製品をガラスケースなしで羽田空港で展示いたします。通常は限られた期間と場所でしか見ることのできない文化財ですが、高精細複製品では近くによってじっくりとご覧いただくことが可能です。
日本美術のつばさ×HANEDAの展示のテーマは「日本の四季」。みなさまにHANEDAでご覧いただく高精細複製品は、季節にあわせて展示替えを行ないます。今回は「春」をイメージした高精細複製品「花下遊楽図屏風」を第2ターミナル 国際線施設 3階出発ロビーに展示します。四季折々のうつくしさを伝える日本の文化をお楽しみください。また、第3ターミナル4階 「江戸舞台」に、高精細複製品「檜図屏風」を展示します( ただし、同スペースでイベント開催の場合には展示はございません)。
展示される高精細複製品と展示期間
展示場所 | 第2ターミナル 国際線施設 3階出発ロビー |
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展示期間 | 2025年2月28日(金)~ 5月下旬(予定) |
花下遊楽図屏風は、今から400年ほど前、江戸時代のはじめ頃のお花見の様子を描いた屏風です。踊っているのは、最新のモードに身を包んだ女性たち。刀を腰にさしているのは男装の一団です。今の歌舞伎のもととなった、当時流行の阿国歌舞伎の伊達姿を写しているのでしょう。足裏を見せて踊る人物の描写は、まさにストップモーション。三味線に手拍子も加わって、ほがらかなうた声まで聞こえてきそうです。自然を愛めで慈しみ、春を謳歌する日本人の心を見事にとらえ、現代に生きる私たちも心が踊り、歌いたくなるような作品です。
この作品は大正12年(1923)の関東大震災の時に、右の屏風の中央部分が失われました。現在は無地の紙を補って屏風に仕立てられています。今回は、完全な姿を唯一伝えるガラス乾板の画像をもとに、失われた部分を復元し、高精細複製品を制作しました。桜と海棠が咲きほこるなか、着飾った女性たちの宴が催されるうららかなシーンが蘇ります。400年の時を超え、貴人たちの花の宴に迷い込む、夢のひとときを体験してください。


高精細複製品「花下遊楽図屏風(復元複製)」(右隻)
原本/国宝 狩野長信筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵
展示場所 |
第3ターミナル4階 「江戸舞台」 *同スペースでイベント開催の場合は展示はありません |
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展示期間 | 2025年2月28日(金)~ 5月下旬(予定) |
豪壮な武家文化が花開いた安土桃山時代を代表する、華やかで力強い作品です。 金箔を貼った大地と雲を背景に、巨大な檜が幹をうねらせて大枝を広げ、生命力にあふれる表現に圧倒されます。描かれているモチーフは檜と岩、群青の水面のみ。色の数も少なく整理されていることで、檜はいっそう前へ前へと、力強く迫ってくるようです。よく見ると、絵の具がはがれたあとがあり、もとは緑の葉がもっとたくさん描かれていたことがわかります。現在は、屏風のかたちですが、もとは、京都の桂宮(もと八条宮)邸の襖絵でした。描いたのは、当時、画壇でもっとも力をもっていた狩野永徳。安土桃山時代を代表する絵師の最晩年の作品とされます。 もともと4枚の襖だったこの絵は、のちに8枚のパネルの屏風に仕立てなおされました。近年、傷みがはげしくなったため、平成25年(2013)に大規模な修理を行ないましたが、その際、パネルとパネルの間に生じていた絵柄のズレを解消するため、また、保存上の観点から、2つの屏風に分けて仕立て直されました。

高精細複製品「檜図屏風」(右隻)
原本/国宝 狩野永徳筆 安土桃山時代・天正18年(1590) 東京国立博物館蔵
展示する高精細複製品について
展示する高精細複製品は、〈ぶんかつ〉とキヤノン株式会社による共同研究プロジェクト「高精細複製品を用いた日本の文化財活用のための共同研究」の一環で制作・活用した作品と、「綴プロジェクト」から独立行政法人国立文化財機構に寄贈された作品を使用しています。
共同研究プロジェクトは、より多くの人に文化財に親しむ機会とより深い文化体験を提供することを目的に、2018年10月から継続して実施し、これまで15件の高精細複製品を制作しました。ガラスケースに入れずに間近で細部まで鑑賞できる展示や、教育機関向けのアウトリーチプログラム、映像と組み合わせた体験型展示など、オリジナルの文化財ではかなわない鑑賞体験を実現しています。高精細複製品の制作には、キヤノンと特定非営利活動法人 京都文化協会が進める「綴プロジェクト」の技術を活用しています。キヤノンの入力、画像処理、出力に至る先進のデジタル技術と、京都伝統工芸の匠(たくみ)の技との融合により、作品の大きさだけではなく、絵師の筆遣い、岩絵具の鮮やかな色、金箔や金具に至るまで、オリジナルの文化財を限りなく忠実に再現しています。
「綴プロジェクト」は、オリジナル文化財の保存と高精細複製品の活用を目的として、京都文化協会が主催し、キヤノンが共催して推進している社会貢献活動です。キヤノンの入力、画像処理、出力に至る先進のデジタル技術と、京都伝統工芸の匠(たくみ)の技との融合により、屏風や襖絵、絵巻物など古くから日本 に伝わる貴重な文化財の高精細な複製品を制作して寄贈しています。2007年からスタートした本プロジェクトは、海外に渡る以前の所有者などに寄贈する「海外に渡った日本の文化財」と、小・中学校の教科書に掲載の多い文化財などを対象に、教育現場で生きた教材として活用する「歴史をひもとく文化財」の2つのテーマのもと、毎年文化財を選定しています。
*原本は常設展示されていません。詳細は東京国立博物館ウェブサイト[https://www.tnm.jp/]をご確認ください。