岡山県立博物館で、茶碗にふれる

岡山県立博物館で開催中の「茶碗 茶の湯にふれる」(~3月16日)が、すごいんです。
何がどうすごいのか、このブログでご紹介させてください。
茶碗のスターが大集合
会場内に足を踏み入れると、右を見ても左を見ても名碗がずらり。「茶碗 茶の湯にふれる」というタイトルの通り、会場に展示された作品のほぼ全てが茶碗です。その数なんと98点(うち2点は参考出品の壺)。 名品たちが整然と並ぶ様子に、思わずため息が出ます。
会場風景(岡山県立博物館提供)
本展では、茶の湯の広がりとともに変化していく茶碗の歴史を5章構成で紹介しています。室町時代の茶人があこがれた中国の茶碗、茶の湯の大成者・千利休が見出した朝鮮や日本の茶碗、桃山時代の息吹を感じるユニークな「ヘウケモノ」、釉薬の使い方を工夫した江戸時代の茶碗、京都から全国に広がった仁清風(にんせいふう)の茶碗…。会場内をぐるりと一周すると、時代とともに移り変わっていった茶碗の流行がよくわかります。
しかも本展でご覧いただける作品は、そのひとつひとつが展覧会の主役となるような名品ばかり。やきもの好きのみなさんは、まさにスター選手が勢ぞろいした会場に目を見張ることでしょう。やきものビギナーのみなさんも、この展示で“推し”の一碗に出会えることまちがいなし。こんな機会は滅多にありません。一度きりではもったいない!お近くの方はぜひ、何度も足を運ぶことをおすすめします。
“手に取ってみたい”をかなえるデジタルコンテンツ
会場内では、文化財活用センター〈ぶんかつ〉が制作した茶碗鑑賞のデジタルコンテンツ「8Kで文化財 ふれる・まわせる名茶碗」もお楽しみいただけます。
シャープ株式会社・東京国立博物館とプロトタイプ版を共同開発し、2020年東京国立博物館において初公開した本コンテンツ。その後、体験できる茶碗のラインナップを6作品に増やし、愛知県陶磁美術館や九州国立博物館で公開してきました*。このたび中国地方にて初公開です!
*文化庁「令和3年度 地域ゆかりの文化資産地方展開促進事業(先端技術を活用した文化資産コンテンツ制作プロジェクト)」により制作(制作協力:九州国立博物館・愛知県陶磁美術館)
▷▷関連ブログ「8Kで手に取る 戦国武将が愛したうつわ」の記事を読む
70インチの大型モニターに8Kの3D画像を映し出し、6つの名碗を自由自在に鑑賞。かたちも重さも実物の文化財そっくりに制作した茶碗型ハンズオンコントローラーを動かせば、8Kモニター上の高精細画像で茶碗を 360度好きな角度から鑑賞できます。まるで手に取って眺めているよう。


「もしもあの名碗を手に取ることができたら…」茶碗好きなら一度は想像するにちがいないその夢を、デジタル技術でかなえます。本展にぴったりだと思いませんか??
ビギナーでも大丈夫。画面に現れる「見どころマーカー」 が、作品の見どころを教えてくれます。
さらに驚くべきことに、本展では「ふれる・まわせる名茶碗」に取り上げた全6碗の作品のうち、5碗の実物をご覧いただけます。もちろん過去最多!

重要文化財 油滴天目
(ゆてきてんもく)
中国・建窯 12~13世紀 九州国立博物館

重要文化財 青磁輪花茶碗 銘 馬蝗絆
(せいじりんかちゃわん めい ばこうはん)
中国・龍泉窯 13世紀 東京国立博物館

重要美術品 大井戸茶碗 有楽井戸
(おおいどちゃわん うらくいど)
朝鮮 16世紀 東京国立博物館

志野茶碗 銘 振袖
(しのちゃわん めい ふりそで)
美濃 16~17世紀 東京国立博物館

黒楽茶碗 銘 尼寺
(くろらくちゃわん めい あまでら)
長次郎 16世紀 東京国立博物館
実物の展示場所もすごいんです。有楽井戸、尼寺、振袖の3碗は、本コンテンツの体験場所から後ろを振り返るとすぐそこに…!油滴天目と馬蝗絆も、体験場所から行き来して見られる位置に展示されています。こんなにぜいたくな空間があるでしょうか。
ぜひ、体験後にはもう一度実物をご覧ください。新たな発見があるかもしれません。
最後にいま一度申し上げます。こんなチャンスは二度とないかも!
みなさま、岡山県立博物館へぜひお出かけください。
茶碗 茶の湯にふれる
会期 2025年1月31日(金) ~ 2025年3月16日(日)
会場 岡山県立博物館 2階展示室
開館時間 午前9時30分~午後5時
休館日 毎週月曜日、月曜日が祝日の場合は翌日
観覧料金 大人450円、65歳以上220円、高校生以下無料
主催 岡山県教育委員会、岡山県立博物館
共催 山陽新聞社、RSK山陽放送
岡山 県立博物館・公式ウェブサイト https://www.pref.okayama.jp/site/kenhaku/
岡山県立博物館・X https://x.com/okayama_prefmus
岡山県立博物館・Facebook https://www.facebook.com/okakenhaku
- posted by
- at
- 2025年02月13日 (木)