ぶんかつブログ

がばい高精細か洛中洛外ば、ゆつらーとみにこんね?

佐賀県立美術館にて、特別展「桃山三都―京・大坂と肥前名護屋」(2024年12月 6日~ 2025年1月29日)が開幕しました!


佐賀県立美術館


特別展サイン

本展は、京・大坂・肥前名護屋(ひぜんなごや)を「桃山三都」と位置付け、桃山時代の豪華絢爛な文化を再確認するとともに、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の天下統一事業の中で京・大坂と並ぶ主要な役割を担った肥前名護屋の実像に迫るという特別展です。三都といえば一般的に京・大坂・江戸が想起されますが、桃山時代、肥前名護屋(現在の佐賀県唐津市名護屋)も、京・大坂に匹敵する大都市でした。

本展には、東京国立博物館、京都国立博物館、九州国立博物館などからも重要美術品の屏風や国宝の刀剣などをお貸し出ししています。文化財活用センター〈ぶんかつ〉は、佐賀県立美術館と共同で、デジタルコンテンツ「8K文化財 国宝『洛中洛外図屏風(舟木本)』」 を実証公開しています。この デジタルコンテンツは、〈ぶんかつ〉が東京国立博物館・NHKとともに取り組む共同研究「8K文化財プロジェクト」により制作したものです。

洛中洛外図屏風は、京市街(洛中)と郊外(洛外)の景観や風俗がこと細かに描かれ、市民の生き生きとした生活のありさまを今に伝えます。東京国立博物館が所蔵する国宝「洛中洛外図屏風」は、滋賀の舟木家に伝来したもので、「舟木本」の名で親しまれています。


体験コーナー

このコーナーでは、実寸大の国宝「洛中洛外図屏風(舟木本)」の高精細複製品に加え、70インチの8Kモニターにて、屏風の詳細を超高精細3DCG(=「8K文化財」)でご覧いただけます。


体験中

モニター前に設置してあるコントローラーを操作し画面を拡大することで、洛中洛外図の細部に迫っていくことができます。往来をそぞろ歩く人びとの表情、通りの店先に並べられた食器、橋のたもとで占いの道具を並べる易者(えきしゃ)たちなどもはっきりと見ることができます。


モニターでの拡大画像


赤い□の部分を拡大しています。

往来で踊る若者たち。中央の男性の着物の柄、白地にゴールドの横線は、豊臣秀吉も着物に取り入れるくらい流行した柄だと言われています。実際の屏風ではわずか5センチ足らずの人物もこんなに大きく拡大できます。


松本尚之学芸員

本展を担当された佐賀県立美術館の学芸員、松本尚之さんにデジタル展示を採用した理由を伺いました。
「 8K の最先端技術が可能にした超高精細な舟木本の世界。『8K文化財』でご覧いただく細やかな描写から400年前の京都に暮らした人びとの人生まで読み取れるようです。この体験を通して当時の人びとの暮らしに目を向けた後は、ぜひ再び展示室にもどって、実際の同時代の資料をご覧ください。 7年間だけ存在した幻の都市・肥前名護屋の人びとも、多様で固有なバックグラウンドを持ち、彼らひとりひとりが肥前名護屋という都市を形成していたことにも思いを馳せていただければと思います」

会場では、「8K文化財」体験コーナーのほか、桃山時代に活躍した絵師・長谷川等伯の代表作、国宝「松林図屏風」 の高精細複製品に松林の冬の一日をプロジェクションマッピングで映し出すデジタルコンテンツや、重要文化財「風神雷神図屏風」(尾形光琳筆、裏面:重要文化財「夏秋草図屏風」⦅酒井抱一筆⦆)の高精細複製品もお楽しみいただけます。「風神雷神図屏風/夏秋草図屏風」の実作品は、現在、作品保存のため、表と裏に分けられ、それぞれ別の屏風になっていますが、この複製屏風は表裏一体であった制作当時の姿を再現しています。今では見ることがかなわない、この屏風の本来の姿をご覧いただけます。


国宝「松林図屏風」高精細複製品に松林の冬の一日を映すプロジェクションマッピング


表裏一体の風神雷神図屏風/夏秋草図屏風

なお、「8K文化財」は実証実験として公開しているため、体験いただいた方々にはアンケートのご協力もお願いしています。会場でアンケートにご回答いただいた方には、ポストカードをプレゼントしています予定枚数がなくなり次第終了)。

展覧会は1月29日まで(会期中展示替えあり)。
充実した展示内容ですので、ご旅行や年末年始の帰省などでお近くにお越しの方は、がばい高精細か洛中洛外ば、ゆつらーとみに(=すごく高精細な洛中洛外をゆっくり散策しに) 、ぜひお立ち寄りくださいませ。

▷「8K文化財プロジェクト」のページを見る

特別展「桃山三都-京・大坂と肥前名護屋-」

会期 2024年12月6日(金) ~ 2025年1月29日(水)

会場 佐賀県立美術館(2・3・4号展示室)

開館時間 9:30~18:00

休館日 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月1日)、1月14日(火)は休館。
※1月13日(月・祝)は開館。

観覧料 一般 1,400円
※高校生以下は無料
※障害者手帳又は指定難病医療受給者証の所持者と介助者1名は無料
※小学生以下は要保護者同伴

詳細は佐賀県立美術館ウェブサイトをご覧ください。https://saga-museum.jp/museum/