ぶんかつブログ

ColBaseを活用しよう!グッズ製作編

文化財活用センター〈ぶんかつ〉が運営する「ColBase(コルベース/国立文化財機構所蔵品統合検索データベース)」[https://colbase.nich.go.jp/] に掲載されている文化財の画像をたくさんの方にご利用いただけるよう、デジタル資源担当が連載する「ColBaseを活用しよう!」シリーズ。

前回は、ColBaseの画像を利用してミュージアムグッズの開発を担当された方に、グッズ製作の裏側をインタビューしました。
全6回連載の第5回目は、個人でもColBaseの画像を使ったグッズ製作を楽しんでいただけるよう、デジタル資源担当のスタッフがグッズを製作しましたので、その模様をお届けいたします。

グッズを製作するにあたりスタッフ間で、ColBaseの画像を使ってどんなグッズが欲しいか、手軽に作れるか考え、

○ 読書のお供に、印刷して使えるブックカバー
○ そろそろ準備? 2024年カレンダー
○ 展示を見るときや、お散歩に、刺繍サコッシュ
この3つを作ってみました。


製作グッズ

まずは、ブックカバーをご紹介します。
書店で本を購入すると各書店のブックカバーを付けてもらえますが、好きな文化財をモチーフにしたブックカバーがあれば気分が上がるかも…そんなことを考えて、今回は3つのデザインを作りました。


ブックカバー

どなたでも印刷して手軽に使えるように、A4用紙内に文庫本と新書のサイズ目安線をつけた上で、デザインをしていきました。

1つ目は、多くの人がどこかで見かけたことがあるであろう、葛飾北斎の「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」。


葛飾北斎筆「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」ブックカバー
▷ColBaseで葛飾北斎「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」を見る

大きな波と富士山が印象的なので、どーん!とそのまま利用しました。

2つ目は、教科書やテレビ番組で見たことがある方や、現在、東京国立博物館の総合文化展(平成館考古展示室)で展示されているので、実物をご覧になった方も多いかもしれない「遮光器土偶」。


「遮光器土偶」ブックカバー
▷ColBaseで「遮光器土偶」を見る

ColBaseには正面からの画像に加えて、背面の画像も登録されているので、画像の背景を削除して並べて模様のようにしてみました。背面が混じっていますが見つかりましたか?

ここまで、多くの方がどこかで見たことがありそうな文化財を使って作りましたが、3つ目は見たことがある方が少ないかもしれない能装束の「厚板(あついた)茶地葵唐草模様(子方)」から作ってみました。厚板とは、男性役が表着の下に着るものです。


「厚板 茶地葵唐草模様(子方)」全体像

 
一部をトリミングしたもの

加工せずに使うのもよいですが、模様が切れ目なく繋がった形にしようと思い、一部をトリミングして、画像の複製、反転等を行ない繋げて1枚にしてみました。


「厚板 茶地葵唐草模様(子方)」ブックカバー
▷ColBaseで「厚板 茶地葵唐草模様(子方)」を見る

「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」と「遮光器土偶」とは違い、どのような文化財かパッと見ただけでは分からないですが、自分の好きな文化財をそっと日常に取り入れるのも良いかもしれません。

ちなみに、ColBaseの画像を使う際にお願いしている出典表記は、折り込み部分に記載しました。
これならデザインに影響しませんね。

PDFでブックカバーを配布しますので、ご家庭のプリンター等で印刷してお使いください。
(A4・横・カラー印刷推奨)
ブックカバー「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」
ブックカバー「遮光器土偶」
ブックカバー「厚板 茶地葵唐草模様(子方)」

次は、もっと日常的に見えるところで使えるものにColBaseの画像を使えたら…と、事務所内をきょろきょろ見渡し見つけたカレンダー。
10月になり、書店等に来年のカレンダーや手帳が並び始めましたね。
自分のお気に入りの文化財が毎月楽しめるカレンダーがあったら嬉しいかも!と今回は2パターン、デジタル資源担当のスタッフ(小田・川合)と、東京国立博物館インターンシップ生の伊東日和さんがデザインしました。


ColBaseカレンダー

1つ目は、画像をそのまま使ったり、ColBaseに載っている画像から一部を抜き出して文化財を組み合わせたりと、さまざまな形でデザインしたバージョンです。
例えば、1月はカレンダーのメイン部分の画像に、ColBaseの画像をそのままペタッと貼り付けて使用し、右下の龍は画像から龍のみを抜き出しました。


ColBaseカレンダー 1月
▷ColBaseで「染付龍濤文提重」を見る

来年は辰年。ColBaseのフリーワード検索で「辰」や「龍」と検索して、干支にちなんだ文化財を探しました。
名称が分からないときや、具体的にこれ!といったものが決まっていないときはフリーワード検索がオススメです。

3月は、複数の文化財を組み合わせて、ひな祭りや春らしさを感じられるようなデザインに。豪華な四段の五世大木平蔵「有職雛飾り」と、桃の花が可愛らしい歌川広重「桃花に小禽」の一部を抜き出して使用しました。


有職雛飾り
▷ColBaseで「有職雛飾り」を見る


歌川広重筆「桃花に小禽」
▷ColBaseで「桃花に小禽」を見る

このような感じにレイアウトしました。


ColBaseカレンダー 3月

このように複数の文化財を組み合わせられるのがデジタルの強みですね。

市販のカレンダーキットに印刷してみました。いかがでしょうか。


カレンダー使用イメージ

2つ目のカレンダーは、浮世絵だけを集めたカレンダーです。
東京国立博物館は数多くの浮世絵を所蔵していますが、そのなかには絵が複数枚に分かれており、繋げると1枚の絵になる「続絵」(つづきえ)があります(ColBaseの品質形状の項目に「3枚続」などと書いてあります)。
今回は、そんな続絵の浮世絵だけを使ってみました。

ColBaseでは、続絵を1枚ずつ分けて登録しているためバラバラになっていますが、画題で検索をすると1枚になることがわかります。


勝川春紅筆「浅草年の市」の検索画面
▷ColBaseで「浅草年の市」を見る

画像編集ソフトで、3枚に分かれた画像の端と端をよく観察して繋げてみるとこのような形になります。


勝川春紅筆「浅草年の市」
全体像がわかるようになりましたね。

カレンダーでは、出典を左下に記載しました。画像は加工しているので、加工したことが分かるように明示しています。

ぜひ印刷してご利用ください。市販のキットや硬めの紙に印刷すると、売っているカレンダーっぽく見えるかもしれません。
(縦・カラー印刷推奨)
ColBaseカレンダー(2024年)
(3月・4月・5月・9月・11月は複数の文化財を組み合わせてデザインしました)
ColBase 浮世絵 カレンダー(2024年)
(全12か月分、複数枚の文化財を繋げて作りました)

ここまでは、ColBaseの画像を加工や編集をしてグッズにした例をご紹介しました。
最後にご紹介するのは、画像を下絵にして作ったサコッシュです。

ブックカバーにも利用した遮光器土偶ですが、土偶の胴部などにみられる細かい模様は刺繍と相性がよいのでは?ということで、スタッフが地道に刺繍したこちら。


遮光器土偶サコッシュ

いかがでしょうか?頑張りました。

ColBaseの画像を上からなぞって、下絵を作っていきました。


下絵作成中

じっくりと観察すると大きな模様以外にもたくさんの模様が入っていることがわかります。そのため、模様をどこまで刺繍するかを考えつつなぞり、下絵を完成させました。


下絵完成

できあがった下絵を、刺繍下絵用の布に書き写し、


下絵を水で溶ける刺繍下絵用の布に水性ペンで書き写す

そしてあとはひたすら、ちくちく縫っていきます。


ひたすら縫う。

遮光器土偶の部分はチェーンステッチで凹凸感が出るように縫いました。
綺麗にアイロンをかけたら完成!
展示室を見てまわるのによさそうです。


遮光器土偶と…遮光器土偶?!

ColBaseの画像を利用する際には出典の明記をお願いしていますが、このサコッシュのようにColBaseの画像を下絵等に使用した場合は、画像の直接使用ではないため出典の明記は必要がありません。
ぜひハンドメイドや絵画の下絵等にもご利用ください。

さて、今回はColBase画像の活用方法の一例としてスタッフがグッズを製作してみました。出典の明記の仕方も参考にしてください。
ぜひみなさんもさまざまな方法で、思い思いのかたちにして、好きな文化財を日常に取り入れてみてくださいね。

デジタル資源担当が連載する「ColBaseを活用しよう!」シリーズ最終回は、「販売したいハンドメイド作品にColBaseの画像を使ったけど、出典はどうしたらよいの?」そんな疑問が解決できるかと思います。どんなグッズを作るかも含め、お楽しみに。

ColBaseを活用しよう!シリーズ
▷関連ブログ「ColBaseを活用しよう!ColBaseの画像利用について」の記事を読む
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カテゴリ: 文化財の情報