ぶんかつブログ

貸与促進事業 まもなく受付開始!よくある質問Q&A

国立博物館が全国のミュージアムに対し、地域ゆかりの収蔵品を貸し出し、文化財活用センター〈ぶんかつ〉が作品輸送費や梱包・開梱、展示・撤収作業費等を支出する、「国立博物館収蔵品貸与促進事業」。

▷貸与促進事業とは

2022年度は、刈谷市歴史博物館、島根県立古代出雲歴史博物館、足利市立美術館、鹿児島県歴史・美術センター黎明館、滋賀県立安土城考古博物館、沖縄県立博物館・美術館の6館に合計133件の文化財をお貸し出ししました。いずれの展覧会も盛況のうちに閉幕を迎え、全国各地の43,522名のみなさまにご覧いただくことができました。


島根県立古代出雲歴史博物館「ハニワの世界へようこそ」展示会場風景

「地元にこんな出土品があったとは。実際に見られて感動した」、「コロナ禍で旅行をひかえている中で県外のものを見ることができてよかった」、「ずっと実物を見たいと思っていた国立博物館の所蔵品を地元で見ることができた!」など、今年もアンケートにたくさんのお声をいただきました。

▷関連ブログ「貸与促進事業って、なに?」の記事を読む
▷関連ブログ「2022年度貸与促進事業による6つの展覧会をご紹介」の記事を読む

さて、本事業は全国各地のミュージアムから関心をお寄せいただいており、事業への申請を検討いただくなかで、お問い合わせを受けることもございます。このブログでは、これまでに何度かご質問をいただいている、「作品」と「輸送」に関する2件と、申請から事業実施までの大まかなながれについてご案内いたします。
申請時のご参考になれば幸いです。

〇作品について
Q.地域ゆかりの作品とは、地元出身作家の作品や地元からの出土品に限られるのでしょうか。
このようなお問い合わせをいただくことがございます。主体となるのは「地域ゆかり」の作品ですが、それらの作品の理解を深め、展示趣旨をより効果的に理解してもらうために必要不可欠である、などの理由があれば地域と直接的なゆかりがない収蔵品であっても借用希望作品リストに含めて申請いただくことは可能です。例えば、今年度に開催された「茶の湯と薩摩」展は、歴史の動向やさまざまな文化交流によって拡がりを見せた薩摩の茶の湯の様相を、茶道具を中心に歴史資料や出土遺物を通して紹介する展覧会でしたが、時代とともに唐物から高麗茶碗などへと変化する価値観や、千利休が侘茶を大成し新たに価値づけされた和物に焦点をあてるために、薩摩焼のみならず、南宋時代の天目茶碗や朝鮮時代の茶碗、美濃や伊賀、信楽、丹波、備前などの茶入や花入などの陶磁作品を東京国立博物館および九州国立博物館から合計30件お貸し出ししました。
また例えば、ミュージアム に寄贈された作品群を、今後も地域に守り伝えてゆく「地域ゆかり」のコレクションととらえ、展覧会を企画するといったことも考えられると思います。切り口をさまざまに変えてみることで展覧会テーマの幅を広げ、申請をご検討いただけたらと思います。これまでに開催された貸与促進事業による展覧会情報もどうぞご覧ください。

▷貸与促進事業 展覧会情報

〇輸送について
Q. 〈ぶんかつ〉が手配する美専車に、国立博物館以外からの借用作品を混載してもらうことはできるでしょうか。
こちらもよくいただくお問い合わせです。立地上、輸送費が高額となる地域の学芸員のみなさまには特に気にかかる点かと思います。詳細は貸与促進事業の実施対象館として選定された後、個別にご相談いただくことになりますが、混載を検討するにあたっての前提条件として次の3点を踏まえていただく必要がございます。
①国立博物館以外の館から国立博物館までの輸送については、保険の関係上、〈ぶんかつ〉が手配する輸送業者と同一もしくは同系統であること。(手配は事業実施対象館となります。)
②〈ぶんかつ〉が手配する美専車の積載量を超えないこと。(美専車の大きさは、国立博物館からお貸し出しする作品の分量で決定します。)
③輸送開始予定日の1か月前までに国立博物館以外の館の所蔵品の集荷日を確定させ、各国立博物館へ「施設使用願い」をご提出いただくこと。

〇申請から事業実施までのながれについて
国立博物館収蔵品貸与促進事業実施対象館選定委員会の選考を経て、例年9月末日までに申請館へ結果通知を送付します。採択された後は、各国立博物館の貸与手順にそって手続きを行なっていただくことになります。


申請から事業実施までのながれ

その他、これまでに寄せられたお問い合わせをまとめていますので併せてご覧ください。

▷貸与促進事業 よくあるご質問・お問い合わせ

最後に、事業に採択された館からのお声をいくつかご紹介させていただきます。採択による利点は、輸送費の負担軽減にとどまらないことがおわかりいただけると思います。
・展覧会の予算は、維持か減らされる傾向にあるが、本事業に内定したことで予算申請の説明がしやすかった。
・本事業に内定したことで信頼度が高まったこともあり、出品交渉がスムーズに進んだ。
・輸送費を負担していただけることで、予算上あきらめていた地域からの作品を借用することができ、展覧会を充実させられた。
・立地上、他県への交通費だけでも高額となるため、輸送費のみならず作品の特別観覧などのための旅費支給があったことも大変ありがたかった。

現在、2024年度「国立博物館収蔵品貸与促進事業」の申請要項を公開中です。

▷2024年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 申請要項


事業募集チラシ表

事業募集チラシ裏

まもなく令和6(2024)年度の申請受付が開始となります。
申請受付期間:2023年4月3日(月)から6月30(金)[17時必着]

2024年4月下旬~2025年3月末までに開始される展覧会が対象です。毎年のご応募が可能ですが、本事業を広く活用していただくため、過去に選定されたことがない貸与先を優先して選定させていただく場合がございます。全国のミュージアムからのご応募をお待ちしています。

カテゴリ: 文化財の貸与