ぶんかつブログ

歴史の動向、文化交流に育まれた「茶の湯と薩摩」

長かった夏が終わり、秋の涼しさを感じる季節となりました。展覧会シーズン到来ですね。

今回のブログでは、鹿児島県歴史・美術センター黎明館にて11月6日(日)まで開催中の、企画特別展「茶の湯と薩摩」をご紹介します。


黎明館外観

この展覧会は、歴史の動向やさまざまな文化交流によって拡がる「薩摩の茶の湯文化」について、茶道具を中心とした歴史資料や出土遺物等を通じて紹介しています。


「茶の湯と薩摩」チラシ画像

▷「茶の湯と薩摩」の開催概要を見る

本展は、文化財活用センター〈ぶんかつ〉が作品輸送費等を支出し、東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館の4つの国立博物館が所蔵する各地域ゆかりの文化財を貸し出す「国立博物館収蔵品貸与促進事業」による、令和4年度の展覧会です。

東京国立博物館(トーハク)からは「黒釉文琳茶入 銘 望月」をはじめとする23件、九州国立博物館(きゅーはく)からは重要文化財の「油滴天目」など7件の文化財をお貸し出ししています。

では早速、会場の様子をご紹介します!


御楼門 高さ、幅ともになんと約20メートル!

鹿児島県歴史・美術センター黎明館は鹿児島(鶴丸)城の本丸跡に建てられています。鹿児島城とは、島津氏の居城のことで、のちに初代鹿児島(薩摩)藩主となる島津家久が建設に着手しました。本丸には大小100以上の部屋があったとされています。

濠に渡された石橋「御楼門橋」を渡り、令和2年3月に復元されたばかりの「御楼門」をくぐった先にある建物が、かつての本丸御殿を思わせる重厚な佇まいの鹿児島県歴史・美術センター黎明館です。

展示会場に入ってすぐ、「第1章 唐物から和物へ 侘茶の大成」コーナーで一際目を引くのが……


重要文化財 油滴天目 中国・建窯 南宋時代 九州国立博物館蔵

きゅーはくからお貸し出ししている、重要文化財「油滴天目」です。室町幕府・将軍家が愛した唐物の名品として紹介されています。

「油滴」の名の由来となる油が散ったような模様は、光の加減によって青から緑へと色合いを変えます。その複雑な輝きの変化は、残念ながら写真ではなかなか伝わりません。

本展では独立ケースに展示されており、さまざまな角度から楽しむことができますので、みなさまぜひ、会場でご堪能ください。


黒釉文琳茶入 銘 望月 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵

続いて、こちらはトーハクからお貸し出しした「黒釉文琳茶入 銘 望月」です。コロッとした可愛らしい形をしていますね。

漢字ばかりの難しい名前……と思われるかもしれませんが、実は見た目をそのまま表しています。

というのも、名前にある「文琳」とは、リンゴ(もしくはリンゴに似た果物)のことなのです。「釉」は、器の表面にかける薬品のこと。銘の「望月」は満月のことなので、直訳(?)すると、「黒い薬がかかっているリンゴの形をした抹茶入れ 満月さん」でしょうか。

丸々とした見た目に加え、丁度手に収まるような小ぶりなサイズで、実際に手に取って鑑賞してみたい!と思わせる魅力があります。


白釉蓮葉茶碗 江戸時代・17世紀後半 東京国立博物館蔵

こちらは、同じくトーハクからお貸し出ししている「白釉蓮葉茶碗」です。独特な形と模様をしていますが、なんと、器全体を蓮の葉に見立てているのです。

外面には凸文、内面には凹文で施された模様は、まさに葉脈そのもの。下のほうからのぞき込むと、高台に彫られた水の波紋が見えます。

ここでご紹介した作品以外にも、島津義弘が「気に入った!」と器の胴部に判を押した茶碗や、朝鮮陶工が持参した土で作った「火計手」など、薩摩の茶の湯文化を象徴する名品の数々がズラリ。圧巻です。

担当学芸員の深港さん曰く、「鹿児島でここまで多くの作品を見られることは滅多にない」とのこと。展示室にいらっしゃったお客様からも「一日じゃ観きれない!」とうれしい悲鳴が。みなさまぜひ、何度でも会場にお出かけください。

鹿児島県歴史・美術センター黎明館へのアクセスは、鹿児島駅から徒歩15分、鹿児島中央駅から市電「市役所前」下車徒歩5分、もしくはバス「薩摩義士碑前」下車です。

薩摩の茶の湯文化を堪能できる本展は11月6日(日)まで。どうぞお見逃しなく。

ちなみに、本展に出品されている重要文化財「油滴天目」は、トーハクで開催される「未来の博物館」(10月18日(火)~12月11日(日))の第3会場「夢をかなえる8K」の<8Kで文化財 ふれる・まわせる名茶碗>でもとりあげています。かたちも重さも実物そっくりに制作した茶碗型ハンズオンコントローラーを使い、8K映像で360度好きな角度から鑑賞できます。
▷「未来の博物館」特設ページ

企画特別展「茶の湯と薩摩」

2022年9月22日(木) ~ 2022年11月6日(日)

会場 鹿児島県歴史・美術センター黎明館(〒892-0853鹿児島県鹿児島市城山町7番2号)

開館時間 9:00~18:00(入館は17:30まで)

休館日 10月17日(月)、10月24日(月)、10月25日(火)、10月31日(月)

観覧料金 一般800円(600円)、大学生500円(350円)、高校生以下無料 ※( )内は団体〈20名以上〉、前売券料金※障害者の方は、手帳の提示で観覧料が免除になります。(介護者1名免除)

鹿児島県歴史・美術センター黎明館公式サイト https://www.pref.kagoshima.jp/reimeikan/

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