ぶんかつブログ

ぶんかつアウトリーチプログラム コロナ禍での工夫

2019年から開始したぶんかつアウトリーチプログラムは丸3年を迎えようとしています。
ぶんかつアウトリーチプログラムは、文化財の複製を用いて全国各地の子どもたちが文化財に親しむためのプログラムを開発、実施するものです。

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▷ぶんかつアウトリーチプログラム

小学校・中学校・高等学校だけではなく、博物館や教員研修での利用もあり、今日までに利用いただいた機関は32件、参加者は3428名となりました。開始初年度の申し込み初日、本当に申し込みが来るのか、と不安な気持ちで迎えたのですが、ありがたいことに受け付け開始と同時に申し込みがあったことを覚えています。


初回のアウトリーチプログラムの様子

2019年度は11件、2020年度は26件、2021年度は24件の申し込みがありましたが、残念ながらすべての申し込みをお受けすることはかないませんでした。そして誰も予測できなかったCOVID-19により、予約が完了した機関でも中止せざるを得ない時期もありました。

博物館の場合は、日本博物館協会から出たガイドライン「博物館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を元に各種プログラムの実施を検討しますが、アウトリーチプログラムは申し込みいただいた機関(特に学校)で実施するため、文部科学省のガイドライン「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を踏まえた小学校、中学校及び高等学校等における新型コロナウイルス感染症への対応に関する留意事項について(通知)」に沿って実施判断をする必要があります。図画工作や美術の鑑賞の授業はガイドラインにおいてステージ3(現:レベル2)相当では行なわない、という指標が示されています。そのため、まん延防止等重点措置が取られている場合や緊急事態宣言下においては実施することができません。

また、通常の状態では、参加者が感じたことなど発言したり、ほかの参加者と話をして共有したりする手法で鑑賞を進めていたため、生活様式の変化によって生じた、1.参加者同士の会話ができない、2.密集ができない、3.キットの共有ができないという状況でさまざまな課題が発生しました。

そのような中でも、文化財に親しむ機会を提供できればと考え、基本的なプログラムの流れを再度検討し、以下の変更を行ないました。

◆挙手で回答できる問いに変更し、講師に意見を伝えてもらい、講師が参加者に伝えていく

◆作品に近づいてみるときは5人以下とし、参加者同士の間隔をあける。屛風を見ている参加者は講師が対応し、後ろにいる参加者が待ちぼうけにならないように、サポート担当が引き続き解説などを対応する

◆プログラム①「自分だけの松林図屏風をつくってみよう!」を実施する際は、キットの共有を避けられないため、使い捨ての手袋をキットに含める。または感じたことをアウトプットする手法を屛風の制作に限定せず、紙に書いて言葉にするなど、参加者が選べるようにする

もともとこのプログラムは、申し込みいただいた機関の目的に合わせて内容をアレンジしながら実施していましたので、上記以外の基本とする内容を変えることなくコロナ禍においても実施ができています。
▷教育プログラム実施実績

基本としている授業案・スクリプトはぶんかつアウトリーチプログラムプログラム一覧のそれぞれのプログラムからPDFが一部、ダウンロードできますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。
▷ぶんかつアウトリーチプログラム一覧

鑑賞を通じて自らに問いかけ、考える力を養い、自分たちの地域や身の回りにある、人の手から手へ受け継がれてきた文化財を守り受け継いでいく力を育むことを目的として、開発・実施しているプログラムを提供し続けられるよう、これからも試行錯誤しながら進めていきたいと思います。

カテゴリ: 複製の活用