ぶんかつブログ

ColBaseのデータ集約と連携

東京、京都、奈良、九州の4つの国立博物館の所蔵品データを集約し、横断的に検索できるシステム「ColBase(コルベース)」[https://colbase.nich.go.jp/]は、2年前の2017年に公開しました。
そのシステム運用については昨年度から文化財活用センター〈ぶんかつ〉が引き継ぎ、多言語化や画像の追加など、内容をさらに拡充しています。このブログでは「ColBase」(国立博物館所蔵品統合検索システム)のデータ集約や連携についてご紹介したいと思います。

4つの国立博物館(東京、京都、奈良、九州)は、それぞれに魅力あふれる美術工芸品、考古、歴史資料等を数多く所蔵しています。法人としては国立文化財機構というひとつの組織ですが、この4館は開館に至るまでの歴史的な経緯や規模、人員や体制も違っていて、仕事の仕方が少しずつ異なります。そのため、それぞれの所蔵品のデータ(文字情報や画像など)は各館で作成し、実情にあわせて蓄積、管理をしています。

2年前、「ColBase」公開にあたっては、4館それぞれが管理している所蔵品データベースからデータを抽出して、データの項目やフォーマットをある程度揃えた上で収録しました。


  「ColBase」に収録された作品情報

ところが、所蔵品のデータというのは意外と更新されるものなのです。新しく寄贈された作品があったり、修理で寸法が変わったり、不明だった作者が研究によって明らかになったり…理由はさまざまですが、データ変更があった場合は「ColBase」に抽出したデータをその都度、修正していました。

もちろん4館が個別に管理するデータベースでも同様の作業をしているので、これでは二度手間です。そこで現在、各館でのデータ更新が自動的に「ColBase」に反映されるような仕組みを導入することを検討しています。具体的には、文献情報の共有などで広く使われているOAI-PMH(Open Archives Initiative Protocol for Metadata Harvesting)という技術を使う予定です。これにはすでに多くの実績があり、理屈としてはそれほど難しい話ではないのですが、実現まではいくつかの課題がありますので、これからひとつひとつ解決しなければなりません。

さて、「ColBase」に集められたデータは、直接ウェブサイトで公開するだけでなく、他の組織が運営しているデータベースへのデータ提供も行なっています。そのひとつは文化庁が運営する「文化遺産オンライン」[http://bunka.nii.ac.jp/]で、全国のミュージアムの所蔵品のデータとあわせて4つの国立博物館の所蔵品を検索することができます。

また、今年2月に試験版が公開された「ジャパンサーチ」[https://jpsearch.go.jp/]もあります。こちらは文化財に限らず、書籍や放送番組も含めた分野横断的な検索ができるポータルサイトで、「ColBase」の他にも国内の各分野のデータが集約されています。「ジャパンサーチ」が連携するデータベースは今後も増える見込みで、いずれ「日本の文化について、信頼できる情報を集めた最大の検索サービス」になるでしょう。


「ジャパンサーチ」検索画面

目下のところ、「ColBase」は4館のデータを集約する仕組みを強化し、使い勝手の面でもさまざまな改善を進めています。今後も他分野との連携や、さらなるデータの利用促進にむけた方策を探っていきます。

カテゴリ: 文化財の情報