ぶんかつブログ

国立博物館などへの寄附はなにに使われるの?

文化財活用センター〈ぶんかつ〉では、国立博物館や文化財研究所など国立文化財機構に所属する8つの施設の寄附情報をまとめたウェブサイト「国立文化財機構 寄附ポータルサイト」を運営しています。

今回のブログでは、国立文化財機構の寄附の取り組みについて簡単にご紹介できればと思います。なぜ国立博物館や文化財研究所が寄附を募集し、どのように寄附金が使われているのかを知っていただけると嬉しいです。

▷寄附ポータルサイト https://support-us.nich.go.jp/

寄附ポータルサイトで紹介している施設はこちら

東京国立博物館 / 京都国立博物館 / 奈良国立博物館 / 九州国立博物館 / 皇居三の丸尚蔵館 / 東京文化財研究所 / 奈良文化財研究所 / 文化財防災センター

 

1. 1000年先へ文化財を受け継ぐための活動

今日わたしたちがミュージアムで出会うことができる国宝、重要文化財、そのほか名品の数々。
これらの文化財は、わたしたちの豊かな伝統や文化そのものであり、国民の財産として大切に守られてきました。

しかし、文化財は時間の経過とともに傷んでしまうことが避けられません。また、災害や社会状況の変化によって失われてしまう危機にも常にさらされています。
いま、目の前にある文化財は、先人たちが何百年、何千年もの間、適切に保存し、修理を行なってきたおかげで現在まで受け継がれてきたものです。
〈ぶんかつ〉が所属する国立文化財機構の各施設では、これらの文化財をさらに1000年、2000年先の未来へ受け継ぐための取り組みを行なっています。
博物館での展示やギャラリートークのほか、コレクションを充実させるための文化財の購入、保存環境の整備、文化財修理、研究員による調査・研究などの活動もその一環です。 文化財の価値や魅力を国内外に発信し、日本文化への理解を広め、深めていくことで、より多くのみなさまと共に文化財を未来へつないでいきたいと考えています。

2. なぜ寄附が必要なのか?

さて、本題の寄附についてです。先述の活動を支える大きな柱の一つが寄附者の存在です。国立文化財機構では、以前から賛助会(寄附会員制度)や友の会、募金箱などを通してご寄附をいただいてきました。いただいたご寄附は、国から交付される運営費や自己収入(入場料等)ではカバーしきれない事業の経費として、これまでも文化財の購入や修理、展示、教育普及事業等の幅広い分野で当機構の活動を力強く後押ししています。
昨今の世界情勢の変化や光熱費・物価の高騰等の影響等を踏まえると、今後も継続的なご寄附・ご支援が必要です。

当機構の年間予算(2022年度)は約25%を寄附金と自己収入(入館料等)が占め、約75%が国からの運営費等です。

この25%という数字は、欧米の代表的なミュージアムと比較すると小さい値です。当機構では、今後もみなさまからのご寄附をいただきながら、自己収入も増やしていくことで、寄附金と自己収入が占める割合を高め、欧米のミュージアムのように国の財政状況や制度の変化に左右されない安定した運用基盤の構築を目指しています。

3. 寄附はどのように使われているのか

いただいたご寄附は、すべて文化財のために使用されます。ここでは、各施設での具体的な寄附の活用事例を3つご紹介したいと思います。

1. 文化財の修理
東京国立博物館では、クラウドファンディングでいただいたご寄附により、博物館が所蔵する「埴輪(はにわ) 踊る人々」の修理を行ないました。
寄附者の方々には修理工程の進捗をブログやメルマガでお伝えし、一緒に修理の様子を見守っていただきました。約1年半にわたって行なわれた修理は2024年3月に完了し、この秋には一部寄附者へ向けた修理後初のお披露目会も予定されています。

▷国立博物館創立150年記念 踊る埴輪&見返り美人 修理プロジェクト https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2150

2. 文化財の調査・研究
奈良文化財研究所では、全国各地にある石碑の研究のためのスマホアプリをご寄附によって開発しました。そのままでは読みづらい石碑の文字や模様を読み解くアプリ「ひかり拓本」は、幅広い分野で利用され、学校教育の中でも活用されています。お近くに気になる石碑がある方は、ぜひご利用ください。

▷ひかり拓本プロジェクト https://www.nabunken.go.jp/research/hikataku.html

3. 被災文化財の救援活動
文化財防災センターでは、被災した文化財の救援活動などを行なっています。災害は人びとの尊い命や生活基盤を奪うだけでなく、地域の文化財、文化遺産にも深刻な被害をもたらします。被災地域に速やかに専門家を派遣し、被害状況調査や応急処置を行なうためには、平時においてご寄附などの機動的な財源を確保しておく必要があります。

▷文化財防災救援基金 https://ch-drm.nich.go.jp/kikin.html

以上、国立文化財機構の寄附の取り組みをご紹介しました。

寄附ポータルサイトでは、他施設の寄附金の活用事例や特典等もご紹介していますので、どうぞご覧ください。
そして、もし応援したいと思える施設や事業が見つかりましたら、ぜひご寄附を検討いただけますようお願いいたします。

▷寄附ポータルサイト https://support-us.nich.go.jp/