貸与促進事業って、なに?
文化財活用センター〈ぶんかつ〉の柱となる4つの取り組みのひとつに「貸与促進」があります。この記事をご覧になる方がミュージアムにお勤めでもない限り、「貸与(たいよ)」ってなに?またそれを「促進(そくしん)」とはどういう意味かと、疑問に思われる方がほとんどだと思います。
ミュージアムで展覧会を行なうとき、そのテーマによって出品作品=文化財を選定します。他館から文化財を借用して展覧会を構成することもよくあります。東京国立博物館(トーハク)や国立文化財機構の施設では、所蔵する文化財を他館へお貸し出しすることや、その作業そのものを「貸与」と言います。
2019年度貸与促進事業実施館のひとつ、高岡市美術館の展示「明治金工の威風―高岡の名品、同時代の名工」(会期:2019年9月20日~10月20日)のための調査風景。
これまでもトーハクでは、収蔵品を外部のミュージアムに「貸与」し、国内外の展覧会に協力してきました。トーハクと〈ぶんかつ〉ではそれを「促進」するため、「特典」をつけることにしました。なんと、輸送費※1や保険料※2などを〈ぶんかつ〉が負担して、トーハクの収蔵品をお貸し出ししているのです。(ただし公募制!)
※1 貴重な文化財を安全に輸送するためには、専門的な取扱技術・梱包技能を有する輸送業者や梱包資材、車両の手配など、多額の費用が発生します。
※2 文化財の借用では、通常その文化財の評価額(文化財の価値を金額で表したもの)に応じた保険をかけます。
ここからは、〈ぶんかつ〉貸与促進担当課長(A)と、その古くからの知り合いである公立美術館の学芸員(Q)さんとのミュージアム日常あるある会話でお届けします。
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学芸員Qさんはトーハクの展示を見に来て、トーハク列品管理課長兼〈ぶんかつ〉貸与促進課長でもあるAさんと、久しぶりに再会しました。
Q:Aさん、久しぶりー。
A:おー、Qさん、元気?よかったら、お昼一緒にどう?
入谷におしゃれなカフェがあって。ちょっと歩くけど、いい?
Q:えー、そうなんだ。いいよ、連れてって。
※画像はイメージです
Q:ところで、トーハクは貸与促進事業っていうのを始めたらしいけど、いままでの貸与とどう違うの?
A:あー、トーハクの所蔵品を、輸送費付きで貸し出すんだよ。それぞれの地域にゆかりのある作品を積極的に貸し出そうという趣旨の事業なんだ。トーハクの事業として2年前に始まったけど、去年の7月に文化財活用センターができてから、トーハクと〈ぶんかつ〉の共同事業になったんだ。作品はトーハクから貸し出し。輸送費は〈ぶんかつ〉から出すんだ。
Q:そうなんだ! 輸送費はけっこうかかるから、それは助かる!
A:輸送費だけでなく、保険料も負担するし、打ち合わせや調査、借用・返却のときの出張旅費も出すよ。
Q:へー。実は、来年トーハクさんの作品で地元ゆかりのものがあって、ぜひお借りしたかったのだけど、予算がなくて(泣)。輸送費を出してくれるなら、お願いしたいです。
A:それなら、貸与促進事業に申請してみて!
来年2020年度の展覧会のための応募は6月末が締め切りだよ。もちろん審査があるけどね。
Q:え、ほんと?ウェブサイトを確認してみる!
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このように、トーハク&ぶんかつ貸与促進事業は、地方公共団体のミュージアムにお勤めの学芸員のみなさんに、ぜひ知っていただきたい事業です。
詳しくはこちら
2020年度の貸与促進事業の募集は、2019年6月28日が締め切りです。ふるってご応募ください!
募集要項はこちら
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- 2019年06月04日 (火)