会期 | 2025年3月7日(金) ~ 2025年3月31日(月) |
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会場 | 東京国際クルーズターミナル |
主催 | 文化財活用センター・日本空港ビルデング株式会社 |
お問い合わせ | 03-5834-2856(文化財活用センター) |
日本を訪れる海外の方々や国内の皆さまにより広く文化財に親しんでいただけるよう、東京国立博物館が所蔵する国宝・重要文化財の高精細複製品をガラスケースなしで、東京国際クルーズターミナルで展示いたします。通常は限られた期間と場所でしか見ることのできない文化財ですが、高精細複製品では近くによってじっくりとご覧いただくことが可能です。
日本美術のつばさ×東京国際クルーズターミナルの展示のテーマは「日本の文化」。みなさまに東京国際クルーズターミナルでご覧いただく高精細複製品は、季節にあわせて展示替えを行ないます。今回は高精細複製品「風神雷神図屏風」を 3階ロビーに展示します。四季折々の日本の文化をお楽しみください。
展示される高精細複製品と展示期間
展示場所 | 3階ロビー |
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展示期間 | 2025年3月7日(金)~ 5月下旬(予定) |
右側に風神、左側に雷神が描かれた屏風が2枚でセットになったものです。風や雷といった、人間には抗えない自然の大きな力を、神の姿を借りてちょっとユーモラスに描いています。風神も雷神も、衣が風にはためいて、左から右への強い風の動きを感じさせます。緑色の風神は右の方から画面に飛び込んできたかのような勢いがあり、対する白で描かれた雷神は足を踏ん張って風神の動きを受け止めているかのようです。墨をにじませた雨雲のような部分が、空間の奥行きを感じさせ、また風神と雷神の色合いをくっきりと際立たせています。
風神と雷神を一体として捉え、調和性を重視して描いているのがこの「風神雷神図屏風」の特徴です。この作品の裏に、酒井抱一があとから描き加えたのが「夏秋草図屏風」です。本物の作品は作品保存のため、表と裏に分けられ、現在はそれぞれ別の屏風になっています。


高精細複製品「風神雷神図屏風」
原本/重要文化財 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵
展示する高精細複製品について
展示する高精細複製品は、〈ぶんかつ〉とキヤノン株式会社による共同研究プロジェクト「高精細複製品を用いた日本の文化財活用のための共同研究」の一環で制作・活用した作品と、「綴プロジェクト」から独立行政法人国立文化財機構に寄贈された作品を使用しています。
共同研究プロジェクトは、より多くの人に文化財に親しむ機会とより深い文化体験を提供することを目的に、2018年10月から継続して実施し、これまで15件の高精細複製品を制作しました。ガラスケースに入れずに間近で細部まで鑑賞できる展示や、教育機関向けのアウトリーチプログラム、映像と組み合わせた体験型展示など、オリジナルの文化財ではかなわない鑑賞体験を実現しています。高精細複製品の制作には、キヤノンと特定非営利活動法人 京都文化協会が進める「綴プロジェクト」の技術を活用しています。キヤノンの入力、画像処理、出力に至る先進のデジタル技術と、京都伝統工芸の匠(たくみ)の技との融合により、作品の大きさだけではなく、絵師の筆遣い、岩絵具の鮮やかな色、金箔や金具に至るまで、オリジナルの文化財を限りなく忠実に再現しています。
「綴プロジェクト」は、オリジナル文化財の保存と高精細複製品の活用を目的として、京都文化協会が主催し、キヤノンが共催して推進している社会貢献活動です。キヤノンの入力、画像処理、出力に至る先進のデジタル技術と、京都伝統工芸の匠(たくみ)の技との融合により、屏風や襖絵、絵巻物など古くから日本 に伝わる貴重な文化財の高精細な複製品を制作して寄贈しています。2007年からスタートした本プロジェクトは、海外に渡る以前の所有者などに寄贈する「海外に渡った日本の文化財」と、小・中学校の教科書に掲載の多い文化財などを対象に、教育現場で生きた教材として活用する「歴史をひもとく文化財」の2つのテーマのもと、毎年文化財を選定しています。
*原本は常設展示されていません。詳細は東京国立博物館ウェブサイト[https://www.tnm.jp/]をご確認ください。