ぶんかつアウトリーチプログラム
場所: 箕輪町郷土博物館
参加者数: 90名(中学生10名、一般80名、ほか立ち見あり)
期間: 2025年10月11日(土) ~ 2025年10月11日(土)

 箕輪町郷土博物館リニューアルの一周年を記念し、「松林図屏風」の高精細複製品をお貸し出ししており、複製屏風の展示にあわせてぶんかつアウトリーチプログラムを実施しました。中学生の部1回、一般の部4回の計5回行ない、講師は小島有紀子(文化財活用センター企画担当)、中村麻友美(東京国立博物館 教育普及室)が務めました。

中学校の美術部の皆さんに向けた回では、まず屏風の役割について話をした後、昔の人が生活の中で屏風を使っていたことを想像しながら鑑賞しました。照明を行燈に模した赤色、続いて月明りのような白色に変えてみると、自然と息をのむような声がもれました。その後は、座っていた椅子から離れて自由に見る時間をとりました。ここで鑑賞を促すような声掛けをする時もあるのですが、そんな言葉は必要ないほど皆さんじっくり鑑賞をしていました。近づいたり、離れたり、しゃがんでみたり、互いに話をしたりしながら、思い思いに作品と向き合っている姿が印象的でした。それから、自分がいいなと思ったところや、気づいたことについて話をしてもらいました。途中、「季節はいつごろだと思いますか?」「何時ごろにみえますか?」といった質問をすると、それぞれの言葉で印象を教えてくれました。昔見た景色に似ている、という声もあがりました。最後に、松林図の作者、長谷川等伯の故郷能登の松林の写真を紹介しながら、「皆さんが自分の町で一番好きな風景は?」という質問をしました。箕輪町は自然に恵まれた土地です。ただ、自然がそばにあることの豊かさは、今は当たり前でなかなか気がつかないかもしれません。将来、もし等伯のように自分も故郷を離れたとしたら、思い出す景色はなんだろう。その答えはあえて発表しませんでしたが、それぞれに思い浮かべるものがあったようです。