縄文時代に土でつくられた人形(ひとがた)、土偶です。土偶の中でも、日本で最も有名な土偶の一つです。明治時代に発見され、独特な目の表現が雪の照り返しを防ぐ遮光器(しゃこうき)、つまりスノーゴーグルに似ていたことから遮光器土偶と名付けられました。現在では、遮光器をつけているのではなく、目を誇張した表現だと考えられています。大きな目とは対照的に、耳、鼻、口は小さく表されています。また、両肩の張りや、腰のくびれが誇張された胴体には、短い手足がついています。よく見ると、頭などに赤い彩色が残っているのが見えます。製作当時は全体的に赤く塗られていたのです。 当時の人々のファッションを知る材料として土偶の姿が参考にされることもあります。頭にある冠のような装飾は、当時の女性が髪を結った様子やかんざしを表したと考えられています。また、首の周りの装飾は、首飾りや胸飾りを表現したといわれています。どうぞじっくりご覧いただき、縄文時代の人々のファッションを想像してみてください。 土偶は縄文時代の草創期から登場しますが、一貫して女性像として作られます。これは、女性が命を産みはぐくむことに由来し、安産、子孫繁栄、豊かな自然の恵みなどを祈る際に使われたためと考えられています。―ColBase解説より